ブービー阪神で優勝できる?
夏の天王山の巨人戦に3連敗して、首位戦線からの転落が心配されていた阪神が横浜DeNAに3連勝、負けを帳消しにした。セ・リーグ60勝に一番乗り、ミスの連発で広島に負け越した2位の巨人とのゲーム差を2.5に広げた。だが、相変わらず阪神のチーム各部門の成績と首位の相関関係は不思議だ。表のようにチーム打率.246、本塁打68本、防御率3.67、失点452は、6球団中5位のブービー賞。得点378、盗塁41に至っては、リーグ最下位である。それでも勝てているのは、なぜだろう。 阪神DCで評論家の掛布雅之さんは、「負けるときは大差。勝つときは先発ピッチャーが2失点以内に頑張って、福原、オ・スンファンにつないで勝つパターン。そうなると必然、チームの数字が悪くなるよね。いい負け方をしているとも言えるが、チーム防御率が3.68もあれば、ベンチの試合計算がむずかしくなる」と分析している。 8月の試合だけを見ても、12勝ある勝ち試合のうち1失点に抑えた試合が5試合、2失点が6試合。もう1試合も3失点。打ち合いを制するような試合はひとつもなかった。逆に4点以上を奪われての負けが、8敗中6試合もある。つまり負けるときは大負け、勝つときは1試合平均、3.32点しか取れない得点力不足を投手力でカバーして、2失点以内で守り勝つのが、阪神の今季のパターンなのである。 そのチームカラーを象徴するかのように、リーグ成績2位で終わった昨年は、マートンが打率.338で首位打者、ゴメスが109で打点王を獲得したが、今季の各タイトルのリーダーにいる阪神勢は一人もいずに、福留が本塁打で3位、打点で4位、ゴメスが打点で5位、上本が盗塁で3位につけているくらい。逆にピッチャー陣は、昨年のセーブ王のオ・スンファン、ホールドポイント王の福原の2人は、今季も各部門でトップを快走中。昨季は最多勝、奪三振王をメッセンジャーが獲得したが、今季は現在最多タイの10勝を挙げている藤浪が、奪三振も163個で、2位の同僚メッセンジャーに15個差をつけてトップを守っている。