「陰陽師0」佐藤嗣麻子監督 デビューから30年「みんないなくなった」 第一線でエンタメ映画を撮り続ける唯一無二の女性監督に聞く
遊園地のような映画が好き
今、王道のエンタメ映画を撮る女性監督がほとんどいないことについて、あらためて佐藤監督の思いを聞いてみた。 「昔は私が今の年齢になる頃には日本でももっと女性監督が増えて、コンスタントにエンタメ作品を撮っていると思っていました。全くそうなっていないことには、正直ビックリしています」 佐藤監督にできて、他の女性監督ができなかった理由は何だろう。 「それはわかりません。そもそも、他の女性監督でエンタメのメジャー作品を志向している人がいるのかどうか、私にはわからない。あまりそういう人にお会いしたことがないので、アート系を志向する人の方が多いのかもしれないとは思っています」 では逆に、佐藤監督はなぜ「陰陽師0」のようなエンタメ作品を撮り続けているのか。 「こういう作品が好きだからです! 映画館に行って、人生を深く考えるような映画は私は見たくないんですよ。遊園地に行くみたいな感覚で映画を見たい。ワーッて別世界に連れて行ってくれるような映画を見たい。だからそういう作品を作っています。自分が見たいものを作っているんです」 「『陰陽師0』は私が本当に見たいものを作ることができた。あるインタビューで(夫の)山崎監督がオスカーを獲ったことに嫉妬するかと聞かれましたが、そういう感覚は全くありません。ただ、この『陰陽師0』を誰か別の監督が撮っていたら、めちゃくちゃ嫉妬したと思う。それくらい、私が心の底から見たかった映画です」
山﨑賢人の「今しかない瞬間」を焼きつけた
若き日の安倍晴明を演じた山﨑賢人さんは、撮影時27歳。他の作品では見たことがないような妖しい色気を放っていることに驚かされる。 「いえいえ、もともと色っぽい人ですから(笑)。とはいえ、山﨑さんは女性の監督と仕事をするのが初めてだと聞きました。いつもより色っぽいと感じられたのは、もしかしたらそれが良い方向に作用したのかもしれませんね」 「私としても、山﨑さんをこのタイミングで撮ることができたのは本当に幸運だったと思います。まだ大人になり切る前の青年の雰囲気、透明感がとても美しい。二度とない瞬間を焼きつけられたのではないでしょうか」 学生時代の安倍晴明が挑む呪いとの戦いを描く呪術エンターテインメント大作「陰陽師0」は、2024年4月19日全国公開。 (まいどなニュース・黒川 裕生)
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