第94回選抜高校野球 クラークに春到来 全国初勝利目指す /北海道
<センバツ高校野球> 28日に開かれた第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の選考委員会で、昨年秋の全道大会を制したクラーク記念国際(深川市)の初出場が決まった。クラークは16年夏の甲子園に出場したが、初戦で敗退。球春告げるセンバツで全国初勝利を目指す。大会は3月4日に組み合わせ抽選があり、同18日に阪神甲子園球場で開幕する。【三沢邦彦】 クラーク記念国際野球部に吉報が届いたのは午後3時14分。岡田聡副校長(63)が、初のセンバツ出場を知らせる電話連絡に「喜んでお受けいたします」と答えた。正面玄関前で知らせを受けた選手たちは高々と帽子を投げ、喜びを分かち合った。 チームは創部3年目の2016年夏の甲子園に出場。昨秋は全道大会を制し、明治神宮大会に挑んだが、初戦敗退。白取太郎主将(2年)は「全国での敗戦を糧に、センバツで1勝したい」と必勝を誓った。 昨秋の全道大会で左腕エースとしてマウンドを守った山中麟翔(りんと)(2年)は「注目の大会で投げられるのは楽しみ。甲子園のマウンドでは気持ちの強さを出したい」。140キロ終盤の直球が持ち味で、エースとともに守りの要となる辻田旭輝(あさひ)(2年)も「野球をやっているなら誰もが憧れる夢の舞台に立てるのはうれしい。自分の持ち味を最大限に発揮したい」と笑顔をみせた。 創部時から指揮する佐々木啓司監督(65)は「念願のセンバツ出場が決まり、ほっとしている。選手一丸となって『初戦突破』を合言葉に、甲子園で力を発揮したい」と語った。冒険家でプロスキーヤーの三浦雄一郎校長(89)はコメントを寄せ、「最高の舞台の切符を手にした選手たちを、誇りに思います。全国からやってくる強豪チームにも強い心で挑み、甲子園初勝利・初優勝をつかんで下さい」とチームにエールを送った。 ◇2本柱中心、守り安定 クラーク記念国際は昨秋の全道大会で、左右の「2本柱」を中心とした安定した守りが光った。エース左腕の山中麟翔は、最速138キロの直球を中心にスライダーなど多彩な変化球が持ち味。全道大会5試合中3試合で先発し、防御率1・05の安定感をみせた。右腕の辻田旭輝は、140キロ超の直球を中心に3試合を投げ、25三振を奪った。 打線はコンパクトで鋭いスイングが徹底され、全道大会5試合中3試合で2桁安打をマーク。2番・金原颯(2年)はチームトップの5割2分9厘で得点機を広げた。1年生ながら4番を任された麻原草太は、長打力も備え、好リードとフィールディングでチームの勝利に貢献した。 佐々木監督は、監督や部長として駒大岩見沢(廃校)を春夏12回の甲子園出場に導き、センバツ4強入りを含め通算9勝を挙げた。クラークでは創部3年目の16年夏の甲子園に初出場している。 ◇21世紀枠落選「この経験夏に」 札幌国際情報 校長室で電話を待っていた札幌国際情報の有倉雅史監督は、ウェブの速報で21世紀枠に選ばれなかったことを知り、選手たちに報告。「選ばれても、選ばれなくても、甲子園をちゃんと感じながら練習してきたことは絶対にプラスになる」と強調したうえで、夏の南北海道大会に向けて「この経験があったから夏に勝ったと言えるよう頑張っていこう」と呼びかけた。選手たちは「はいっ!」と元気な声で応じた。 高根稜真主将は「悔しい気持ちはあるが、ここで選ばれなかったことで、夏に勝ってやろうという気持ちになった」と南北海道大会優勝を誓った。【高山純二】 ……………………………………………………………………………………………………… ◇「大志を抱け」理念に クラーク記念国際 「少年よ、大志を抱け」の名言を残した米国人、クラーク博士の精神を建学理念に掲げ、1992年に道内初の広域通信制高校として開校した。運営母体は学校法人創志学園(神戸市)。全国約50カ所の施設で教育を展開し、約1万人が在籍している。生徒のニーズや興味にあった独自のカリキュラムが特徴。卒業生にはソチ五輪スノーボード女子パラレル大回転銀メダリストで、2月の北京五輪にも出場する竹内智香選手らがいる。 ……………………………………………………………………………………………………… ◆昨秋の道内公式戦結果 ◇空知地区Aブロック 1回戦 ○29-0 岩見沢西 2回戦 ○ 4-0 深川西 決定戦 ○15-0 滝川工 ◇全道大会 1回戦 ○4-1 駒大苫小牧 2回戦 ○6-2 北海 3回戦 ○5-1 立命館慶祥 準決勝 ○5-1 東海大札幌 決勝 ○3-1 旭川実