<プロ野球>敬遠のうまいチームはどこ?
プロ野球には敬遠という作戦がある。守備側の都合で勝負する相手をある程度選択できるというほかの球技にはなかなかない作戦だ。自らピンチを広げることでピンチからの脱出を図るという、ハイリスクハイリターンな作戦をうまく活用しているのはどのチームなのか。今回は敬遠について調べていきたい。 12球団のここまでの敬遠数と成功率(得点をゆるさなければ成功)、敬遠した打者をまとめたものが表1。そして敬遠時の塁状況をまとめたものが表2である。この2つのデータをもとにチームごとの傾向をみてみたい。
積極的なチームはヤクルト、日本ハム、ロッテ
■ヤクルト(試行回数11回、成功率55%) 12球団で最多となる11度の敬遠を行っている。比較的点差があっても試みるところが特徴的なのだが、同点の場面での成功率が83%なのに対して、ビハインド状態での成功率は25%、これ以上リードを広げられたくない場面での敬遠がことごとく裏目に出ている。今季よく見られる大量失点の原因はこのあたりにもありそうだ。ただし1死二塁での敬遠は見事で、5度あったこのケースのうち4度はダブルプレーで切り抜けている。 ■日本ハム(試行回数11回、成功率73%) ヤクルトと並ぶ11度の敬遠を行っているが、こちらは成功率も高い。3度の失敗も2度は続く打者を打ち取りながらその後の打者に打たれたもの。作戦の選択自体は間違っていないといえる。敬遠した打者の顔ぶれからもわかるように危険な打者を徹底的に避ける方針が好結果を生んでいるようだ。この方針がはまったのが6月17日阪神戦の10回。1死二塁で鳥谷を敬遠し、新井良を三振、続くマートンを再び敬遠し今成を打ち取るというまさに思惑通りの結果だった。 ■ロッテ(試行回数10回、成功率80%) 成功率は12球団トップ。走者三塁での敬遠が4度、試合中盤の5、6回の敬遠も4度と塁状況よりも、勝負する打者を重視している姿勢がうかがえる。2度許した得点も犠飛によるもので敬遠後の被安打はいまだ0。名捕手だった伊東監督の眼力が十分に発揮されているといえそうだ。