北海道の酒米、道外販売量1千トン超え ブランド力向上や温暖化の影響で
北海道産酒造好適米(酒米)の道外への販売量が、2024年は初めて千トンを超えた。10年前の1.8倍で、販売総量の約4割を道外向けが占める。道産酒米のブランド力向上に加え、温暖化で本州産の品質への懸念が出ているためで、道外の酒蔵での需要が今後はさらに高まるとの見方も強い。 【表】道産酒米の販売量 道産酒米のほぼ100%を取り扱うホクレンは毎年、全国の酒造会社から必要量を聞き取った上で作付面積などを調整し、収穫量に応じた販売契約量を決める。昨年12月26日時点で道外向け1113トン、道内向けが1582トンで、ほぼ契約通りに引き渡される見通しとなった。 道内では1998年に酒米の初雫(はつしずく)が作付けされて以降、生産が本格化。ホクレンによると、14年産の販売量は道外向けが631トン、道内向けは1218トンで、道外向けの伸びが顕著になっている。商社を通じて複数の蔵に出荷されるケースもあるため正確なデータはないが、道産米を使用する道外の酒蔵は、14年産は約20蔵で、24年産は少なくとも70蔵まで増えているとみられる。 背景には、道産酒米の評価が高くなっていることがある。16年から道産酒米の吟風を使用する福井県の黒龍酒造の担当者は「(酒米の代表的品種)山田錦と比べて劣っている印象はない。温暖化で本州産の質が安定しない例が増えており、北海道は酒米の生産適地という認識が全国の蔵の間で広まっている」と話す。