【動画】「魔物」を経験した世代最強左腕 大阪桐蔭の異質な主将・前田悠伍 センバツ注目選手
◇第95回記念選抜高校野球大会(3月18日開幕、阪神甲子園球場) 世代最強左腕といえば、大阪桐蔭の前田悠伍投手(3年)だろう。1年秋から主戦を務め、前回センバツで優勝、明治神宮大会は2連覇を果たした。実績は同学年で群を抜く。 最速148キロの直球、キレのあるチェンジアップ、ツーシームを出し入れする。けん制もうまく、冷静沈着だ。 だが、昨夏、甲子園の「魔物」を経験した。準々決勝の下関国際(山口)戦の1点リードの九回。初めは楽しむ余裕もあったが、先頭打者に安打を許し、球場が盛り上がると「頭が真っ白になった」。 そこからは覚えていない。逆転され、春夏連覇の夢は断たれた。試合後は泣き崩れ、自分では立っていられなかった。 新チームでは西谷浩一監督(53)から主将を託された。人前で話すのは苦手で、主将経験も初めてだ。リーダーシップを持つ選手が担ってきた歴代の主将と比べても異質だが、その分、行動で引っ張ることを心がける。練習では率先して準備をして、試合中は仲間に声をかける。チームのためを第一に行動するようになった。 昨秋は不調で、ツーシームなどで「ごまかしながら」投げた。それでも、12試合で防御率1・33。改めて非凡さを示した。 春連覇に向けて、「圧倒的な投球をしたい」。もう「魔物」には負けない。【大東祐紀】