6月解散なら与党過半数割れの危機⁉【松田馨の議席予測~自民党・公明党編~】
議席予想で想定すべき、2つの変数とは
ズバリ、自民党の議席予想は? 松田氏は、議席数の予想に必要な変数を紹介していきます。 まずは、支持率が回復しない中で勝負(衆議院解散)に出たとして、 ・無党派層の投票率。お灸を据えるような投票行動に出るのか ・自民党支持層がどれくらい歩留まりするか の2つがポイントになると指摘。その上で、島根1区の衆院補選での投票行動に注目します。 島根1区では、自民党支持層があまり投票に行かなかった上に、わざわざ投票に行った3割が亀井さんに投票していることが明らかになりました。 松田氏は、もともとの自民支持層が「お灸を据える形」で亀井さんに投票した可能性があること、通常でも自民党支持層の2割くらいは、ほかの候補に投票することがあるという投票行動を示します。 しかし、その2割も25%や30%になり、競っている野党候補に入れられるとダメージが大きくなります。
次の変数は投票率です。 MC鈴木「補選より本選のほうが投票率が上がるじゃないですか。投票率が上がると、今回のようなケースだと自民党に不利ですか?」 松田氏は、投票率を考える際に「どの層が投票に行く、どの層が行かないかがわからない」という前提を示します。 松田氏「一般的に投票率が上がった際、『ふだん投票に行かない無党派層が投票に行くので野党に有利だ』という意見があるが、『自民党支持層が投票に行かない』ことで投票率が下がるケースもある」 その上で、4月の衆院補選での島根1区は、自民支持層が投票に行かず、立憲・共産・無党派層が投票に行ったので、結果として投票率が思ったより下がらなかったという結果を示します。 松田氏「自民支持層も行かず、無党派層もあまり行かない。その結果、低投票率だけれども野党が勝つということはじゅうぶんありうる」
自民は50以上減?野党はどこが躍進する?
次の本選はどうなるのでしょうか。 松田氏は、「今の空気感のまま、自民党が信頼を回復できずに選挙に突入すると、低投票率で野党が勝つ」とコメントします。 松田氏「野党が勝つというか、自民が大きく議席を減らす。なので、単独過半数は割れる。200を切るまでは行かないと思いますが、200前半が見えてくる」 松田氏は「自民党は50以上議席を減らす」と予測した根拠として、選挙ドットコムとJX通信社が行った調査の「比例投票先」の数字に着目します。この数字は、政党支持とは違って、政党支持層がどれくらい票を入れるか、また無党派層がどの党に入れるかを知る意味で、貴重なデータなのだそう。 松田氏「今回、比例投票先に立憲民主党を選ぶ声が大きく伸びて、自民が減ったと。数字が動き過ぎてて、米重さんも不安になってるかと思うんですが(笑)、ひとつの変化が起きている証拠」 これまでは、比例投票先には自民が1位で、「どんなに崩れても50割るのはありえない。60前後」でした。松田氏は「比例ではドント方式なので、ある程度大きな票が取れる政党は議席が取りやすく、大崩れしない」とコメントします。 比例投票先の数字に、実際に投票に行くかどうかを掛け合わせたとしても、「立憲の比例議席はかなり伸びるな」と予測します。 松田氏「立憲は前回も40行っていないが、50という数字が見えてくる」 今までは、比例では維新に勢いがありましたが、この数字では維新に行くはずだった数字も立憲に流れてしまうとのこと。 松田氏「維新はこのままだと相当苦戦すると思います」 MC鈴木「公明党(現有32)は大阪の影響が大きいんですか?」 公明党は、日本維新の会が強い大阪・兵庫でどうしても苦戦する傾向にあります。公明党も自公のくくりの中で批判され、支持を下げている。選挙区はかなり厳しいという予想を立てます。 もうひとつ、公明党は最後の1議席にしっかりすべり込む比例の強さが特徴ですが、ここにも新たな敵が出てきたと松田氏は指摘します。 松田氏「新興政党が出てきたことで、定数の多い比例のブロックで、そういったところが1議席かすめ取るみたいなことが出てくる。そうなると、公明党はあおりを食って比例でも苦戦する」 MC鈴木「公明党に関しても、2月末に予測した22よりも減らす可能性がある?」 松田氏は、公明党は2月の予想より大きく減ることはないとし、自民党が比例でも苦戦するだろうと予測します。 MC鈴木「総合すると、自民党200ちょっと、公明党20ちょっととすると……これ過半数も届かないですね。けっこう衝撃じゃないですか」 松田氏「仮にこのまま、逆風の状態で行くと、そうなるでしょうね……なのでやっぱり、ある程度勝てる見込みがなければ解散総選挙するということはあんまり考えられないんじゃないかと思いますけどね」 松田氏は、参政党の動きを紹介します。 現在、立憲と維新のほか、100人に迫る立候補者を立てているという参政党。野党が候補者をたくさん立てると批判票が割れるので、自公の連携が強固であれば、得票率で4割を下回ることがないだろうと読み解きます。 松田氏「得票数、得票率を前回より下げても、野党で票が割れることで、自民党が競り勝つ選挙区もけっこうあるだろう。そこの候補者の擁立状況もあって」 こうした分析の背景には、維新の掲げる矛盾した目標が存在します。 松田氏「維新が自公の過半数割れと野党第1党を目指すという目標が矛盾しているわけなんですよね。何か、それをクリアできる秘策でも魔法の杖でもあればいいんですが、たぶんなく」 松田氏「野党第1党を狙うんだったら、主要選挙区で候補者を立てまくるしかない。そうなると自民を利することになる。そういうことも含めて、維新は今苦しいなと」 政策や主張としては保守寄りの参政党ですが、意外にも、自民党の政策との親和性は高くないようです。 松田氏「参政党支持者は、データでみると岸田政権に対して非常に批判的。不思議な感じだけど、共産党と同じような挙動。岸田政権はまったく評価しない層が多い。政権への批判という軸でいうと右の共産党みたいなポジション」 松田氏は、「参政党が保守票を取るから自民の票が減るというよりも、日本保守党が自民党の票を削る可能性がある」と指摘します。
松田氏「(議席予測では)95%以上当てたいんだけどねえ、だいたい90%ちょっととかなんだよねえ、なかなか」 MC鈴木「最後のブレる変数はどこなんですか?」 松田氏「競っててどっちが勝つかわからない。どこまで積み重ねてもね。現地の状況もあるし、接戦のところはほんとわからない。読み違えることはどうしてもあります」