小学生の登校、減りゆく見守りボラ 10年で3分の1の団体も 背景はリタイア時期?核家族化?
岡谷市内で小学生の登校を見守るボランティアの確保が課題になっている。定年退職後も働き続ける人が増えたことなどから、見守りに携わる人が減ったり、高齢化で活動をやめたりしていることが要因。見守り活動を続けるボランティアや学校側は「子どもの安全を守るために必要な活動」とし、新しい担い手を探している。
市内の小井川小学校の近くでは、ボランティア団体「えがおまもり隊」のメンバーが児童の登校を毎日見守っている。4日も午前7時過ぎから、黄緑色のそろいのジャンパーを着たメンバーが横断歩道近くに立ち、車の通行に気を配りながら「おはよう」「いってらっしゃい」と声をかけていた。
えがおまもり隊は子どもが巻き込まれる事件や事故が増えたことを受け、2005年に結成。毎日の見守りに加えて、授業参観や給食にも参加して顔の見える交流も深めてきた。長年の活動が評価され、今年9月には全国防犯協会連合会の表彰を受けた。
ただ、10年ほど前には最大60人ほどいたメンバーは約20人まで減った。隊長の西山周治さん(75)は「昔は孫が通う学校の見守りをするために入ってきたが、今は60代でも働いている人は多い。核家族化が進み、孫と暮らしていない人も増えた」と話す。
他地域でも新たな人の確保が課題に挙がる。川岸小に通う三沢区の児童を見守る「三沢区ふれあいパトロール隊」はメンバーが数人のみ。大半が70代で区長の横内秀弥さん(72)は「区としてもPRしないといけないが、働きに出ている人が多く難しい面もある」と打ち明ける。
岡谷田中小では現在37人がボランティア活動に参加し、人数は横ばい。だが、小学校によると、長年活動している人が多い一方、新しく始める人は少ない。今後のメンバーの高齢化に備えるためにも、新たな担い手を確保したいという。
市教育委員会によると、市内全7小学校でボランティアやPTA関係者が児童の登校を見守っている。学校やボランティア団体から「担い手が減っている」と聞くといい、広報紙「広報おかや」でも見守り活動を周知しているものの、人集めは各団体頼みになっているようだ。
小井川小の「えがおまもり隊」として活動13年目になる西山さんは「子どもから元気をもらい、生活の張り合いにもなるから続けられる。毎日でなくても、できる日に子どもを見守る人が増えればうれしい」と話している。