次期ロードスターのシャシー 北米で発表か
なぜ今シャシーを発表するのか?
とすると、舞台はどこだということになる。米国のモーターショーと言えば1月に国際格のデトロイト、2月のシカゴ、4月のニューヨーク、11月のロサンゼルスの4つ。仮にニューヨークを見送ればロサンゼルスとなるが、どうせ11月まで引っ張るなら、世界3大モーターショーの一角として来場者数やメディアの注目度がケタ違いのデトロイトまで引っ張りたくなる。しかし、それでは2月のシカゴに1カ月しかリードが無い。何らかの手を打つとすれば、この4月のニューヨークは事実上のラストチャンスというわけなのだ。 シャシーの展示という点にも理由がある。次期ロードスターの特筆すべき特徴は車両重量だからだ。重量目標は1トン。現行モデル中、最も軽い仕様が1110kgであることを考えると10%もの軽量化になる。現行ロードスターも決して重いクルマではなく、むしろこれまでも全力を上げて軽量化への努力を積み重ねて来たクルマだ。そこから10%を削り取るのは容易なことではない。本当に1トンを切るのか、そしてそれはどんな技術によって達成されるか、がシャシーを見ればわかる。1トン切りが確認できれば、メディアは大々的にとりあげ、発売前に期待を大きく盛り上げることが可能になる。 軽量化についてはもうひとつ重大なポイントがある。スポーツカーというだけで「ガソリンを無駄遣いする遊びグルマ」とバッシングを受けかねない昨今の情勢下で、ロードスターの長期存続を考えれば、何らかの象徴的なエコ対策は欠かすことができない。その対策として軽量化ほどロードスターに相応しいものは無いだろう。車両重量は走りにも燃費にも大きく貢献するからだ。もちろんマツダ独自の統合エコ技術であるSKYACTIVはシャシーにもエンジンにも採用され、説得力のあるエコ性能が与えられるだろう。
ロードスターは古典的な道を選んだ
次期NSXの記事で触れたように、われわれの常識を覆す4輪個別制御のモーター駆動技術が成立しつつあり、スポーツカー=ハイブリッドという超ハイテク時代が迫りつつある。対して、ロードスターは古典的スポーツカーの文脈を堅持するスタンスだ。保守派スポーツカーマニアの気持ちに沿いつつ、現代のスポーツカーを成立させようとしているのだ。そう書くとまるで、変化を拒んでいるかの様に聞こえるかも知れないが、軽量化と高効率化は王道であるがゆえに地道な積み上げが求められる茨の道だ。それを乗り越えた新型シャシーがどんな姿で現れるかに世界中が注目しているのだ。 (池田直渡/モータージャーナル)