ローソン営業利益は過去最高に 玉塚社長「セブン鈴木会長の退任は驚いた」
コンビニエンスストア大手のローソンは13日、2015年度通期の連結業績(2015年3月~2016年2月)を発表した。営業総収入は前年比17.2%増の5834億5200万円となった。また、営業利益は、既存コンビニ店舗の売上増や成城石井など連結子会社の好業績を反映して同2.9%増の725億4100万円と過去最高となったが、純利益は不採算店の閉鎖などに伴う特別損失の増加により、同4.0%減の313億8100万円となった。 【写真】セブン苦境、ヨーカ堂の業績立て直し途中で社長辞任など先行き不透明に?
「商品力の強化などに徹底的に取り組む」
個人消費が上がらない中、過去最高の営業利益を計上したことについて、玉塚元一社長は、「マクロでの個人消費はそれほど明るくはないが、できることはたくさんある」と説明した。2015年度は、40周年を機に商品づくりを一から見直して、素材や製法、味にこだわった商品の開発に着手。「新潟コシヒカリ紅鮭弁当」などを展開したほか、惣菜や冷凍食品の品揃えの強化、グリーンスムージーの販売にも取り組んだ。こうした商品力の強化と、商品発注の方法の改善を含む売り場力の強化、店舗間の売上高格差の是正といった施策が奏功した。 今年9月に、ファミリーマートがサークルKサンクスを抱えるユニーグループと経営統合するなど、コンビニ業界は大きく動いているが、玉塚社長は「見るべきは市場であり、お客様。競合の状況を推測する暇があれば、商品力の強化などに徹底的に取り組まねばならない」と強調した。 ファミリーマートとサークルKサンクスの店舗数を加えると約1万8000店強となり、2月末で1万1880店のローソンは、店舗数では業界2位から3位に転落する。玉塚社長は、「収益力の強い個店を集積しつつ、量(店舗数)も強化することでいろんなチャンスが見えてくると思う」と述べたほか、「『お友達作り』も、可能性があれば取り組んでいきたい」として、状況次第でコンビニ他社との連携にも取り組む姿勢を見せた。
「鈴木会長は尊敬する経営者の一人」
退任を表明したセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長について問われると、「尊敬する経営者の一人。コンビニ業界の原型をつくり、リードしてきたのは明白。小売業に携わった当時、鈴木さんの本をたくさん読んだ。(退任を知り)驚いたし、残念な感じもした」などと所感を述べる一方、「例えトップが変わっても、しっかりとやっていく手強い相手だと思う」と同社を評した。 このほか、金融関連のサービスについては、「金融絡みの生活支援サービスの提供は重要であり、しっかりと強化していくが、それイコール銀行参入というわけではない。今は、銀行ATMや電子マネーも含め、いろんな選択肢を検討しているとしか言えない」と、今後の展開に含みをもたせた。また、Pontaカードについては、入会したヘビーユーザーが店舗を利用する率が高まっており、今後も拡大に力を入れる方針。 2016年度通期の業績予想は、売上高が同11.1%増の6480億円、純利益は同13.1%増の355億円を見込んでいる。 (取材・文:具志堅浩二)