カメムシをイヤな臭い出させず一網打尽、その名も… 鳥取の企業開発
全国で今年大発生した農作物の害虫カメムシを退治する捕獲器を鳥取市の企業が作り、販売している。室内の天井につるすだけで、粘着剤が1匹1匹を動かなくさせる。カメムシを刺激しないので嫌なにおいとも無縁という。 【写真】室内照明の近くにつるすとカメムシが捕獲しやすいという=2024年11月27日午前11時4分、鳥取市、清野貴幸撮影 開発したのは林業や土木・建設業が本業の「WEST」。きっかけは大野憲一社長(66)の自宅に大量のカメムシが発生したことだった。暖房の薪(まき)ストーブに使う薪を室内に運び込んだところ、一晩で60匹ものカメムシが出現。薪同士の隙間などにいたものが室内の暖かさと明るさで飛び出したとみられ、粘着テープで捕獲に追われた。 粘着剤のわなを作れば捕獲できるのではないか――。発案した大野社長から指示を受け、社員は画用紙に両面テープを貼る作業から開発をスタート。粘着部分の製造を捕虫器メーカーに依頼するなどして完成した。 商品名はカメムシの別名でもある「へこきむし」。サイズ別にミニ(税込み726円)、ナイス(同968円)、レギュラー(同1078円)の3種類があり、いずれも厚紙を箱形に簡単に組み立てて使う。室内の照明近くなどにつり下げておくとカメムシが入り込むという。効果は開封後3カ月。 元々は同社が開発する林業用の機械を売り込むための宣伝用品とする予定だった。知り合いの社長から「売った方がよい」と勧められ、商品化したという。「百発百中ではないが、知らないうちに捕獲でき、においもほぼない」と大野社長。殺虫成分が含まれないので、病院や福祉施設、ホテルなどからも問い合わせがあるという。 会社近くの流しびなの館、鳥取市のまちパル鳥取(市ふるさと物産館)と地元ホームセンター、自社のウェブサイトで販売している(レギュラーの販売は年明けから)。(清野貴幸)
朝日新聞社