クリスマスケーキ値上げ相次ぐ 鳥インフルで卵高騰、猛暑でイチゴは品不足 食材ロス削減へ、予約販売限定やメニューを減らす洋菓子店も
島根県内でクリスマスケーキの値上げが相次いでいる。従来の食材の仕入れ値上昇に加え、鳥インフルエンザの発生や、猛暑によるイチゴの収穫の遅れなど不安定要素が重なっているためだ。ケーキ店は食材ロスを減らして値上げ幅を抑制するなどの対策を講じる。 ケーキ製造に欠かせない食材の卵。東京、大阪、名古屋、福岡の4地区で卸売り価格を公表するJA全農たまごによると11月(大阪地区、Mサイズ基準値)は1キロ当たり276円で、飼料の高騰などにより過去5年間で最高となっている。 さらに、全国で発生が相次いだ鳥インフルエンザの影響で、業者や加工メーカーが在庫を積み増しする動きがある一方、クリスマスなどで需要は増えることから、西日本のある卸関係者は「年末までは価格が上がるだろう」とする。 飾りに欠かせないイチゴも品不足の懸念がある。安来市下坂田町の大森ファームは、高温で花付きが遅いため、冬の収穫が1カ月近く遅れている。大森雄介代表(48)は「昨年のクリスマスの時期に卸した量と比べて、7割いけばいいほうだ」と打ち明ける。
こうした事情から、松江市学園1丁目のパティスリーガレットは、昨年は3千~4千円程度だったクリスマスケーキを100~200円値上げした。大きさは変えず、注文受け付け数を昨年の最大80個から60個に変更し、販売効率を維持する。4千~5千円程度のケーキを販売する同市片原町のパティスリー・キュイールも前年比で10~15%値上げ。チョコレートの値上がりが影響しているという。 浜田市相生町のラ・ナナは例年、食材を多めに注文し直前の予約や当日販売分を確保してきたが、材料のロスは価格に反映しかねないため、予約なしの当日販売は基本的に行わないことにした。 メニューは前年の8種以上から4種に限定。製造と接客担当の大坂美穂さん(50)は「無駄のない発注で価格をできるだけ上げないようにしたい」と話した。