ミャンマー人、タイの不動産で資産防衛 クーデター後に購入急増
【バンコク稲田二郎】2021年2月のミャンマーの軍事クーデター後、隣国タイでコンドミニアムを購入するミャンマー人が急増している。ミャンマー軍政は3日、タイのコンドミニアムを違法に販売、購入したとして不動産業者ら4人を逮捕した。売買増加による金融資産の国外流出を防ぐための措置とみられている。 タイの不動産情報センター(REIC)によると、コンドミニアム購入者の国別順位で、ミャンマーは21年までトップ10の圏外だったが、22年に6位(349戸、約110億円相当)、23年には4位(564戸、約160億円相当)となった。今年は3月末までに392戸(約95億円相当)が売買され、中国に次いで2位となっている。タイ人に依頼して購入するケースも多く、実態はデータよりはるかに多いとみられる。 背景にあるのがミャンマー通貨チャットの暴落だ。クーデター時は1ドル=1300チャット台だったが、現在の実勢レートは1ドル=4千チャット台に低迷。富裕層は資産を守るため、タイのバーツ建てで積極的に不動産を購入しているという。 ミャンマーからの情報によると、3日に逮捕された4人は当局の許可を得ずにヤンゴンのホテル内で販売会を開き、購入代金をタイに違法送金したという。軍政は取り締まり強化に乗り出すが、購入者には政府関係者も含まれており、一般市民だけをターゲットにしている可能性が高い。