福岡の「子どもシェルター」が閉鎖危機 どうして運営難に?
今年に入り、ドラマ『明日、ママがいない。』が大きな話題となりました。相次ぐ虐待事件の報道などを受け、虐待を受けた子どもの保護やケアについての関心が高まっています。こんななか、福岡県に開設されていた「子どもシェルター ここ」が運営難となり、閉鎖の危機となっていることが3月中旬に報じられました。「子どもシェルター」とはどんな施設なのでしょうか。また、なぜ「ここ」が運営難に陥っているのでしょうか。
子どもシェルターとは?
「子どもシェルター」は、2004年に東京の弁護士らが主導して開設した民間の施設です。虐待などの原因で家出をしたり、少年院・少年鑑別所を出た後に行き場所がない子どもなどの「一時保護所」として機能しています。昨年10月、和歌山県に全国で8番目のシェルターが開設されました。 「子どもシェルター」が児童養護施設と異なる点のひとつは、児童福祉法の適用外である18歳~19歳を受け入れている点です。児童養護施設などでの受け入れは18歳以下に限られていることから、この年齢の子どもが施設を出た後の自立に悩む例もあり、これまで「制度の隙間」とも言われてきました。
なぜ入居者数が減った?
当初、運営費は寄付などが主でしたが、2012年度に厚生労働省から「自立援助ホーム」として認められことにより、公的な財政支援が行われることになりました。支援額は入所者1人につき月に20万円で、この支援によってこれ以降、「子どもシェルター」の開設が増加することが期待されました。 しかし今回、2012年に開設した「ここ」の運営難が報じられています。財政支援を行う基準として、年間ののべ入居者数が定員の倍であることが求められていましたが、2013年度の利用者数がこれに達しなかったためです。5人の定員に対して、2012年度は10人の利用がありましたが、2013年度は5人でした。 利用者数が伸びなかった原因について、「ここ」はHPで「対応の難しい子どもの退去先がなかなか見つからず、短期間で次のステップに進むことができないため入居が当初の予定よりも長期化してしまうという事情」もあったことを明らかにしています。