「輪島を知っておかないと」地元高校の合格つかむ “集団避難”選ばずガレージや台所で受験勉強…
北陸放送
「あった、あった!」 石川・輪島市輪島崎町に住む崖顕さん。14日、輪島高校の合格発表で自分の番号を見つけ、笑顔があふれました。 【写真を見る】「輪島を知っておかないと」地元高校の合格つかむ “集団避難”選ばずガレージや台所で受験勉強… 崖顕さん 「地震当時も勉強部屋いたんですけど、物とか机の上も部屋もぐちゃぐちゃで、そこで勉強するのは難しいなと」 顕さんは通っていた輪島中学校が避難所となっていたため、受験勉強は自宅でオンライン授業を受けるなどして乗り越えました。勉強場所となったのは、台所やガレージです。同級生の多くは白山市の施設へ集団避難する中、崖さんは輪島に残ることを決めました。 顕さんは自宅のある浄明寺で、寺の復旧作業や炊き出しに積極的に参加。その合間を縫って勉強に取り組みます。 崖顕さん 「うちは炊き出しで、みんなのところに会いに行ったりしている。楽しいので。(ボランティアの)人に見られてて集中できるから、違う良い緊張感で勉強できていると思う」 3月6日、高校入試の当日。 「おはようございます」 崖顕さん 「勉強してきたことをしっかり生かせるように頑張りたい」 Q緊張とかは? 「今のところしていないです」 ■「輪島に残りたい」という思いはうれしい…息子の成長見守る 受験会場へ送り届けた父・超さんも、地震を経た息子の成長を肌で感じていたようです。 父・崖超さん 「自分で仕事見つけられる、全体を見渡せる、人のために動けるというのは、成長したなと感じている。即決でしたから、“(白山市に)いかない”って。輪島に残りたいという思いは大変うれしい」 そして迎えた14日の合格発表。父や親せきも通った輪島高校への合格をつかみ取りました。 母・崖亮子さん 「やっぱり、嬉しいものは嬉しいです。辛いことは辛いけど…辛いばっかりじゃない。この日を無事迎えられた安ど感もありますね」 入学したら、友人と一緒に野球部に入ると話す顕さん。 崖顕さん 「家を継いで行く身なので、輪島のことを知っておかないといけない。文武両道出来るよう頑張っていきたいと思う」 被災地にもひと足先に訪れた喜びの春、これから希望に満ちた新しい生活への大きな一歩を踏み出します。 どこかクールな印象のあった顕さんですが、離れ離れで過ごしてきた友人たちと卒業式や合格発表の場で再会し、笑顔にあふれていたのが印象的でした。「つらいことばかりじゃない」と、自ら被災しながらも炊き出しに力を尽くしてきた親子だからこそ、喜びはひとしおだったようです
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