阪神・石井大智が九回3奪三振斬りでプロ2勝目「勝ちマッスル!」
(セ・リーグ、阪神1✕-0DeNA、9回戦、4勝4敗1分、21日、甲子園)任された重要局面。己を信じて指先に力を込め、強打者たちのバットに、次から次へと空を切らせた。スコアレスの九回に登板した阪神・石井大智投手(26)が見せた17球の熱投―。サヨナラ勝利への流れを呼び込み、胸を…いや、大胸筋を張った。 「間違ったらホームランがある打者ばかり。(点を)取られたら向こうもクローザーが出てきて、負ける可能性が高くなる。大事な1イニングでしっかりと抑えられてよかったと思います」 先頭の4番・牧に中前打を浴び、不穏な空気が漂う。ただ、ブルペン投球の時点で荒れ気味だったボールも、この一本を浴びてから低めへの意識を強めて修正。まず5番・宮崎に直球勝負を挑んで三振に斬ると、6番・筒香もシンカーを振らせて三振に。続く山本にはフォークを振らせ、3連続K斬り。圧倒してみせた右拳を力強く握り、劇的シーンへの流れを作った。岡田監督も「ずっと調子がいいですし、なんとか0点で抑えておけば、負けはないかな」と勝利に直結した力投をたたえた。 これが今季15試合目の登板で、計13回⅔を投げて奪三振数は22個。奪三振率は実に14・49を誇り、相手をねじ伏せる投球で虎党の胸を焦がしている。小幡がサヨナラ打を放ち、手にできたプロ2勝目。昨年は4月8日のヤクルト戦で初めてお立ち台に呼ばれたが、プロ野球初となる高専卒勝利を挙げた5月11日のヤクルト戦後は腰痛の影響でお立ち台に上がることができなかった。1年ぶりに喝采を浴び、「きょうは上がれてすごくうれしいですし、小幡にすごく感謝します」ともう一人のヒーローにも笑顔で頭を下げた。 登板数は2021、22年の18試合から、昨季に44試合と大幅増。厳しい場面を任されることも多くなった。一人のアスリートとして思うことは「30歳近くになって、仕事で結果が出たらもちろんうれしいと思いますけど、闘志をむき出しにすることってなかなかないと思う。すごく幸せです」。投げられる喜びとやりがい。これからも虎のために戦っていく。 「計画してもう3年ぐらい経っているので、できてよかったですね」
自他共に認める筋トレマニア。お立ち台では温めてきた「勝ちマッスル!!」のフレーズをファンとともに叫んだ。今後はグッズ展開も企画される見込み。石井が剛球と合言葉で、チームとスタンドに笑顔をもたらす。(須藤佳裕)