米沢市でクマの移動ルートを歩きながら住民と共有 途中には捨てられたカップ麺やカキの木も
山形放送
山形県内のクマの目撃件数は統計開始以来、増加傾向で近年は住宅地近くにクマが出没するケースが目立ちます。クマはなぜ人里に近づくのか。米沢市で住民向けの勉強会が開かれました。 ことし5月、米沢市の市街地近くの河川敷に出没したクマの映像です。 「お父さんクマいたよ」 そして、こちらも5月、南陽市のサクランボ園地にクマが現れました。 「バカモノ!ハチミツ食いなさい!」 県内のクマの目撃件数は統計の始まった2003年以降、増加傾向にあり、去年の目撃件数は765件と過去2番目の多さとなっています。 そして近年、特に警戒が必要とされるのが、「アーバンベア」と呼ばれる人里近くに出没するクマの存在です。 米沢市南部の万世地区で11月23日、クマの移動ルートや対策などを学ぶ住民向けの勉強会が開かれました。 東北野生動物保護管理センター今野文治さん「おそらくここがクマの侵入ルート。あのアンダーパスを抜けて入ってくるかな」 クマが市街地近くに出没していることを受け、県はことし、米沢市と鶴岡市を対象にクマの移動ルートなどの調査を実施しました。勉強会で調査結果を住民と共有することで、地区内のクマ対策に活用してもらうのが狙いです。 東北野生動物保護管理センター今野文治さん「クマは森を目指す。ここまで出てきて戻るか市街地方向に先を目指すか自分で決める。クマの目線は人より低い。ちょっとしたやぶや森林があるとそこを目指す」 山と人里の境界近く、市街地へと続く川沿いなどを見て回ります。 東北野生動物保護管理センター今野文治さん「ここを見るとしっかりとけもの道がある。 基本的には母グマからエサ場所を教えられる。なのでエサ場は母から子に引き継がれる」 住宅近くの林の中で、クマたちが好む、”あるもの”が見つかりました。 東北野生動物保護管理センター今野文治さん「ここの問題はゴミ」住民「え!?」 見つかったのは不法投棄されたカップ麺です。 東北野生動物保護管理センター今野文治さん「塩気があるものって自然界にないのでクマはミネラルである塩分が欲しい。カップ麺に汁が残っていたりすると非常にクマが誘引されて食べ物として執着しやすい。人的被害を防ぐためにはこうしたゴミを一切捨てない環境づくりが重要」 参加した住民「特にポイ捨てされたゴミ。それを求めてクマがやってくるとなれば地区として環境整備に取り組みたいと思った」 放置されたゴミのほか、収穫されずに残ったカキなどの果樹も確認されました。いずれもクマの食料となる恐れがあります。県は、今回の勉強会で出された意見を参考に、やぶを刈り取るなどの対策をとる方針です。 県みどり自然課佐藤実課長補佐「クマによる生活被害や農業被害が頻繁に起きていて日常化しているといってもいい状況。クマにとって居心地の悪い環境エサのない環境など地域全体でクマが寄ってこない環境づくりを目指してほしい」 被害を防ぐために、クマを人里から遠ざける地域一体となった取り組みがいま、求められています。