新型コロナに立ち向かうサッカー海外組の影響力…なぜ本田圭佑は提言ツイートを続けているのか?
ブラジル政府は同20日になって非常事態を宣言している。この時点で600人超だった新型コロナウイルス感染者は4月4日の段階で1万人を超え、7人だった死者も432人に急増した。 <おい、コロナ。お前なんかに俺らは負けへんぞ。これ以上俺らの邪魔すんな。> 非常事態宣言が出された直後にこうつぶやかれた本田のツイッターには以後、新型コロナウイルスに関連した投稿が増えていく。 日本がブラジルと同じ道をたどってほしくない、という思いが共有されたからか。5日の2度目のツイートは、半日間で約6万8000件もリツイートされている。 海外から危機を訴えるのは本田だけではない。日本代表DF吉田麻也(サンプドリア)は、今冬から新天地に選んだイタリアが、世界で初めて死者数が1万人を超えた国になった。先月28日に更新した自身のインスタグラム(mayayoshida22)で<冗談抜きで家にいた方が良いです>という文言とともに映像も投稿し、日本のファンへ外出を控えるように呼びかけた。 <イタリアにいて、もちろんイギリスも見ていて思うのは、やっぱり初期の段階で少しみんなが油断していたのではないかと思いました。中国で起こっていることだとか、これはアジアの問題だととらえて日常生活を送っていたことによって、一気に感染が拡大してしまったと思っています。> 数週間前のイタリアがいま現在の日本とダブって見えるからか。吉田はハッシュタグ(#stayhome)とともに<感染の拡大を食い止めるのは、僕たち一人ひとりの意思だと思う>と訴えている。
感染者数でイタリアを抜いてヨーロッパ最多となったスペインでプレーする、元日本代表FWの岡崎慎司(ウエスカ)はパリ在住の作家、辻仁成が主催しているウェブサイト(design stories)へ寄稿した。ロックダウンされている町で暮らす近況と母国日本へのエールを、3日早朝に更新した自身のツイッター(@okazakiofficial)でもシェアした。スペインでは非常事態が25日まで延長されている。 同じくスペインでプレーするMF香川真司(レアル・サラゴサ)やMF柴崎岳(デポルティボ・ラ・コルーニャ)らもSNSを介して、日本のファンへ危機感を訴えている。訴求力がある日本代表や、あるいは元日本代表の選手たちから発信されるメッセージを、新型コロナウイルス感染を公表し、個人名が特定された日本で初めての患者となった日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長も感謝する。 「数多くの若い人がプレーするサッカー界では、彼らのメッセージはインパクトがあります。現在の危機感を多くの人達と共有しなければならないからです。誰でも感染する、誰でもが危機的状況に陥る可能性があるということです。これを老若男女のすべてへ伝えていかなければなりません」 JFAを通してこんなコメントを発表したのは、都内の病院を退院した2日だった。家族と隔離された状態で、インターネットや電話などで職務に復帰している田嶋会長は、吉田らがSNSへ投稿した映像を、JFAの公式YouTubeチャンネル『JFATV』でもシェアしたことも報告している。 5日夜になって、本田の盟友である日本代表DF長友佑都(ガラタサライ)も思いを同じくするつぶやきを、自身のツイッター(@YutoNagatomo5)に投稿している。 <学校再開したら爆発感染間違いないよ! 行動範囲の広い若者たちが一気に感染を広げる。 今大事なのは勉強ではなく命だよ! 勉強の遅れは取り戻せるけど、命は取り戻せない!> 5日になって千葉県や山梨県、岐阜県が県立高校などの休校措置の延長を表明。石川県金沢市は7日から再開させる市内の小中学校を、13日から来月1日まで再び休校にすると発表した。しかし、現時点では休校措置をさらに延長するのは、政府の専門家会議から感染拡大警戒地域に指定されている東京都や大阪府、そして横浜市など大都市圏を中心とする自治体にとどまっている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)