多様化する教室の子どもたち 性同一性障害やギフテッド
5月5日は「こどもの日」。文部科学省はゴールデンウィーク谷間の4月30日、性同一性障害(GID)の児童生徒にきめ細かく対応するよう、教育委員会などに通知しました。一方で今の教室にはGIDに限らず、多様な特性を持った子どもがいることが明らかになっています。
「発達障害」はクラスに2~3人
生物学的性別(セックス)と性別の自己認識・自己認知(ジェンダー・アイデンティティー)が一致しないGIDについては、2003年に議員立法で「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が制定されて以来、その存在が公的にも注目されてきました。文部科学省が2013年度、初めて調査を行ったところ、全国の国公私立小・中・高校や特別支援学校で把握しているGIDの子どもは606人でした。ただ、これは本人や保護者が学校側にGIDだと告げている場合に限っており、文科省も数値が「実態を反映しているものとは言えない」としています。 それにしてもGIDの子どもが少数であることは確かですが、どの学校にも必ず存在するのが分かってきたこともあります。学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの「発達障害」です。文科省が2012年度に行った抽出調査でも、特別な支援を必要とする児童生徒が通常の学級に6.5%程度いると推定されています。40人のクラスなら2~3人いる計算です。しかも、これは教員の目から見て「著しい困難を示す」場合であり、「グレーゾーン」も含めると、もっと多くなります。 発達障害は「発達の凸凹」と言われるように、凹だけではなく凸の面にも注目すべきだという指摘も最近あります。「ギフテッド」と呼ばれる特別な才能に秀でた子どもの存在です。医学的には2~3%で存在するといいますから、クラスに1人いることになります。 こうした「障害」(Disorder)に限らず、クラスには特別な対応が必要な子どもが増えています。その代表例が、外国をルーツとする子どもです。文科省によると14年度に公立学校で日本語指導が必要な児童生徒は2万9198人(2年前に比べ8.1%増)で全体の0.2%にすぎませんが、地域的な偏在があることはもとより、子ども自身は日本語が自在にできても保護者が母国語しかしゃべれないケースもあるなど、さまざまな文化や家庭環境を抱えているケースはもっと多いことは確実です。