体操団体金の萱和磨主将 金メダル獲得後に1人で余韻「エモい瞬間を1人でかみ締めてました」
パリ五輪体操男子の団体総合で金メダルを獲得した萱和磨(28=セントラルスポーツ)が、1日放送のフジテレビ系「アスリートの魔曲 あの勝利にはあの音楽があった」(後4・05)にVTR出演し、五輪後の秘話を明かした。 アスリートのパフォーマンスに影響を与えた音楽を“魔曲”と名づけ、出演アスリートたちと音楽とのエピソードをひもとく番組。スタジオには橋本大輝(23=同)谷川航(28=同)が登場し、決勝前日のミーティングで小田和正の「たしかなこと」が流れた際、チームみんなで涙を流したことを明かした。 萱もVTRでその日を振り返った。「(前日のミーティングで)言ったことは、“銀メダルは嫌なんです”」。キャプテンを務めていた萱は「まとめようかなということじゃなくて、1人の体操選手として、金メダルに懸ける思いがこれだけあるんですっていうのを話した時に、たしかなことが流れて、そこでチームがきれいな円になったというか、本当の意味でまとまった。ワンチームになれた気がします」と、曲のおかげで自然に生まれたチームワークを明かした。 同曲は、小田の柔らかく透き通る歌声が染みわたる、バラードの名曲。萱は歌詞の一部を引用し、「“同じ時を生きてるんだ”というのは、いいですよね。オリンピックという特別な場所で、あの瞬間って一生、訪れるか訪れないか。凄く狭き門の中で戦っていたので、同じ時を過ごした5人、チームメートには感謝してもしきれないですね」と、しみじみ語った。 日本は、中国に3・267点と大差を付けられた2位で、最終種目の鉄棒へ。中国の2人目が2度落下する波乱が起きた後、予選で大きなミスがあった橋本が好演技を披露し、大逆転劇の立て役者になった。 萱は金メダル獲得後も、チームメートと離れて1人静かに余韻に浸っていたという。「金メダルを獲った日の夜、選手村に帰ってきて、1人で…。選手村がめちゃくちゃ広いので、自転車が置いてあるんですよ、ところどころに。イヤホンをして歩いたり、自転車に乗ったり、そこでも『たしかなこと』を聴きました」と回想。「すごく聴いて、1人で夜風に吹かれながら泣きました。真っ暗だし、誰もいないので。エモい瞬間を1人でかみ締めてました」と振り返った。 谷川もその日のことを覚えているという。「“チャリこいでくるわ”は(萱が)部屋で言っていたんで、“行ってらっしゃい”って言ったんですけど、『たしかなこと』を聴いているということは知らなかった」といい、「同じ空間で、同じものに進んで行く感覚、同じ時を生きているなという感覚があった」と、萱の言葉に共感していた。