「子供に宿題出さないで」底辺校の親の“無理難題” 東海地方で30年働く先生が語った事(第2回)
『今日習った内容を応用したら、この問題が解けるはずだから、これを解いてみて!』『難しいかもしれないけど、この宿題をやってみよう! これが解けるようになれば成績が上がるよ!』と。 ■課題を出すと、学校を嫌がっていると抗議 しかし、それに対して親からクレームが入ります。 『うちの子がこんなに学校のことを嫌がってる! どうしてくれるんだ!』と。とにかく親が、子どものことを悪い意味で”子ども扱い”しすぎです。これでは勉強ができるようになるわけがありませんよ。親の意識を変えないと、子どもの成績が上がることはないと思います」
自身の高校に通う生徒と親の関係を見て、「子どもの勉強に対して、親がマイナスな影響をもたらしてしまっている側面がある」というのが、鈴木先生の見立てです。 こうした過保護とも思える子どもに対する扱いは昨今、「発達障害」や「グレーゾーン」と認定される子どもが増えている世の中の流れとも関係があるかもしれません。 2006年に発達障害の児童数は7000人余りだった一方で、2019年には7万人を超えたというデータもあります。
この流れについて鈴木先生に尋ねてみたところ、思い当たることがあるようでした。 「最近、生徒たちの親から『うちの子は、障がいがあるので、宿題を出さないでください』ということよく言われます。 『うちの子はタブレットを使うことはできますが、字を書くことができないんです。そういう障がいなので、そう扱ってください』と言われたこともあります。 でも、その生徒と話していると、私の感覚としては、別にちょっと字が汚いだけの普通の子なんですよ」
「私は専門家ではありませんが、学習障がいのある子どもたちを何人も指導した経験があるので、その難しさを理解しているつもりです。 それでも、私の目から見ても、最近は『この子は本当に障がいがあると言えるんだろうか? もしもその子どもたちが障がいと認定されていないのだとしたら。親や周りの大人がそう扱っているだけのケースもあるのではないか?』と思うこともあります」 ■生徒の親からのあるクレーム 子どもに対する対応よりも、保護者への対応に頭を悩ませる鈴木先生。その一例として、女子生徒への対応に関する保護者からのクレームもあったようです。