北朝鮮ミサイルがEEZ落下 金正恩政権はどこまで本気なのか?
北朝鮮による弾道ミサイル発射が相次いでいます。8月以降、排他的経済水域(EEZ)への落下は2度目で、日本に接近している印象です。今年の新年の辞で「先軍」より「経済強国」を強調した金正恩第一書記でしたが、9日には5度目となる核実験も行っています。こうした日本近海へのミサイル発射の狙いは何なのか。どこまで本気なのか。「コリアレポート」編集長の辺真一氏に寄稿してもらいました。 【写真】4度目の核実験 北朝鮮はなぜ核を持とうとするのか?
ミサイルで狙われる筋合いのない日朝関係
北朝鮮が8月5日に日本海に向け発射した弾道ミサイル3発が日本の防空識別圏内(JADIZ)に侵入し、排他的経済水域に落下しました。 排他的経済水域への落下は8月3日以来2度目、防空識別圏への侵入は3月18日、8月3日に続き3度目です。北朝鮮は一度ならず二度どころか、三度も日本の安全を脅かす暴挙に出ています。領海ではないにせよ、弾頭が落下した排他的経済水域付近では8月には青森や山形からイカ釣り漁船15隻以上が操業していました。まさに危険極まりない、許しがたい暴挙であります。 そもそも日本は北朝鮮からミサイルで狙われる覚えはありません。北朝鮮と交戦状態にはなく、日中や日ロ、日韓のような領土問題での対立もありません。広い日本海を共有していて、排他的経済水域もかち合っていません。中露韓とは異なり軍事衝突の恐れは何一つありません。 国交はありませんが、イスラエルとパレスチナのような不倶戴天の関係でもありません。朝鮮半島の日本統治という歴史はありますが、2002年の日朝(小泉・金正日)首脳会談で拉致問題や核問題が解決された暁には国交を結ぶことを誓い合っている間柄です。日本が北朝鮮に向けてミサイルを発射しているわけでもないのになぜ、北朝鮮は日本を狙い撃ちするのでしょうか? 今年5月の労働党大会で外交担当の国務副委員長に起用された李スヨン前外相は2014年8月にミャンマーで会談した岸田文雄外相に「我々のミサイルは日本を対象にしたものではない」と言明していましたが、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は前の年の2013年3月18日付に日本を米国の追随勢力と位置付け、仮に第二次朝鮮戦争が勃発すれば「日本も攻撃の対象になる」との個人の署名入り記事を掲載していました。ただし、日本への攻撃には「米国が戦争を引き起こした場合」とか「自衛隊が戦争に介入すれば」との前提条件が付いていました。