【プロファイリング座談会】水原一平はなぜ「ヨギ・ベラ」カードを買ったのか?
■大谷のカードは本命の軍資金に? ――そもそもベースボールカードとはなんですか? テッシー 基本的にはMLBプレーヤーのトレーディングカード(*4)です。150年以上前からたばこやお菓子のおまけとして広まり、後に風船ガムの会社であるToppsが台頭し、MLBと独占契約を締結。同社のカードが最もポピュラーですね。 店主 ベースボールカードにはサイン入り、シリアルナンバー(*5)付きなどがあり、何枚生産されたかなどの希少性で値段が大きく変わります。お高いものだと数百万円から億まで値がつき、投資目的で転がして利益を得る人たちがいることも事実です。 教授 そこで違和感なのです。皆さんも感づいたかと思いますが、イッペイさんが持っていたカードの中にヨギ・ベラの名前がありましたね。 (*4)トレードや販売を目的とした趣味のカード。通称トレカ。ポケモンカードやアイドルカード、ビックリマンシールなどもこれの一種 (*5)個々のカードに割り振られる製品番号。必ずあるわけではない ――違和感とは、どんな? 店主 ヨギ・ベラは実績十分なスター選手だけど、投資目的に利用されるカードじゃない。うちに来るお客さんとも話をしたけど、「イッペイはコレクターの可能性がある」というのは、カード好きなら全員感じたことじゃないかな。 テッシー ヨギイズム(*6)とか、ちょっと変わった選手だけど、長生きした分サインの枚数も多い。高値がつく選手じゃない。 (*6)独自の思想と、日本でいう長嶋茂雄語録のような珍妙な発言を指す。例えば「(試合は)終わるまで終わりじゃない」 KKM それに、イッペイさんは5000万円で1000枚を購入している。単純計算で1枚平均5万円。コレクターからすると、そこまで高いカードばかりを買いあさっているという印象ではない金額です。 ウー 大谷とソトは移籍1年目だし、値段が下がるオフの1月にたくさん買って、開幕直前の3月に大部分を売り、その儲けで本命ヨギ・ベラのレアカード(*7)をたくさん買っていたのではないかと推測します。僕も台湾にいた頃から、大好きなダルビッシュ有のカードを集めるためによくやりました。 (*7)カードには製造ロット数が刻まれている。最もレアなのは「ワンオブワン」、日本では通称「元旦」 テッシー イッペイさんがヨギ・ベラのハードコレクターだとしたら、いい趣味してます。友達になって文通したい。 教授 とはいえ、ヨギ・ベラでも鑑定済み(*8)のルーキーカードやビンテージカード(*9)だったら、保存状態が良ければ投資の対象にもなります。いったいどんなカードだったのか。 (*8)最高評価は四つ角がきれいにとがっている、オリジナルの光沢を保っているといった条件がある (*9)ベースボールカードの歴史は古く、100年以上前のカードも現存する ――高値がつくのはどんなカードなのですか? テッシー 基本的には一生に一度しかないルーキーカードが一番。また同じカードでも、PSA/DNA社(*10)の鑑定で10(最高評価)に近い数字がつけば高くなる。 あとは保存状態です。イッペイさんはカードをアタッシェケースに入れてクルマのトランクに入れるなど厳重に保管していたらしいから、やはり最低限の知識は持っていますよ。 (*10)世界最大のトレカ格付け・筆跡鑑定会社。2018年に日本支社開設