カナダ、1.2億カナダドル投じ半導体ネットワーク構築へ
(ブルームバーグ): カナダは、5年間で1億2000万カナダドル(約142億円)を投じ、全国的な半導体ネットワークを構築する。半導体分野で世界に後れを取り、政府に対し注力を求める声が上がっていた。
シャンパーニュ・イノベーション・科学・産業相は4日、連邦政府の戦略的イノベーション基金からの拠出を発表。国内スタートアップ企業の新技術商業化に向け、非営利の研究支援機関CMCマイクロシステムズが主導する2億2000万カナダドルのプロジェクトを後押しする。
カナダのニュースサイト、ザ・ロジックは「ファブリック」ネットワークと呼ばれるこのプロジェクトについて、試作品の製造を補助し、利用者がツール、ソフトウエア、トレーニングをより安く利用できるようにするものだと報じた。ファブリックでは、半導体、超電導体、スマートセンサー、フォトニクスのハードウエア開発に最大1000万カナダドルの資金提供もする。
CMCマイクロシステムズのゴードン・ハーリング代表は声明で、「ファブリックへの支援は、半導体と先端製造業におけるカナダの将来を保証するものだ」と述べた。
新たな資金の投入は、IBMと連邦政府、ケベック州が、同州ブロモンにあるIBMカナダの半導体パッケージング工場を1億8700万カナダドルを投じて拡大するとの4月の発表に続くものだ。
カナダの半導体業界再興を歓迎する声が上がる一方、世界の競争についていくためにトルドー政権は十分な措置を取っていないとの声もある。特に米国は、2022年に成立した国内半導体業界支援法(CHIPS法)で、自国の半導体生産を後押しするため、390億米ドル(6兆2600億円)の助成金と、750億米ドル相当の融資・融資保証を確保した。
米政権、半導体関連の人材育成プログラム開始へ-労働力不足に対応
一方のトルドー政権は、電気自動車(EV)用バッテリーを製造する自動車メーカーをカナダに誘致するため、米国のインフレ抑制法による補助に見合う補助金を約束したに過ぎない。