英中銀、政策金利を据え置き-タカ派2人が利上げ主張撤回
(ブルームバーグ): イングランド銀行(英中央銀行)は21日、政策金利を5.25%で据え置いた。タカ派の委員2人が利上げ主張を撤回し、5会合連続の据え置きに賛成した。
マン、ハスケル両委員が16年ぶりの高水準である5.25%での据え置き支持に回った。据え置き決定は8対1で、2021年9月より後で初めて利上げを支持する委員がいなくなった。
ベイリー総裁は声明で、中銀は「まだ金利を引き下げられる段階ではない」とくぎを刺した。金利をいつまで現在の水準に据え置くべきかについては「検討中」とするガイダンスが維持された。ただ、金融政策がすでに既に景気抑制的な領域にあることから、金利が引き下げられたとしても政策は依然として景気抑制的だろうとの文言が議事録に追加された。
ディングラ委員は前回に続き0.25ポイントの利下げを主張。ベイリー総裁を含む残りの委員は据え置きを支持した。
ベイリー総裁は21日の放送各社とのインタビューで、「インフレの中でも根強いと呼んでいる部分、特にサービスの関連で、取り組みがとりわけまだもう少し必要だ」と説明。「目標に一致する水準をある種持続的に達成するまで確認する必要はないが、さらなる進展を目にすることは必要だ」と続けた。
政策発表後にポンドは下落。トレーダーは利下げ観測を強め、市場は今年の約80ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)利下げを織り込んだ。ポンドは一時1%安の1.2659ドルを付けた。
短期金融市場では初回利下げは8月と予想されているが、6月の確率も50%超あると見込まれている。
MHAの経済アドバイザー、ジョー・ネリス氏は「今月の金融政策委員会(MPC)は金利据え置きを支持したが、国内総生産(GDP)を巡る楽観とインフレの低下基調は予想よりも早く利下げが始まる可能性を示唆する。早ければ、恐らく5月にもあり得る」との見解を示した。
エコノミストは、消費者物価指数(CPI)上昇率が近いうちに中銀の目標である2%を下回る可能性があるとみているが、ベイリー総裁を筆頭とする当局者らは、早過ぎる利下げを行えば、賃金を含む物価上昇圧力がインフレ率を再燃させる恐れがあるとの懸念を繰り返し表明している。