〝今〟が続くことはありえない…だから描き続ける マンガ「特別じゃない日」の制作秘話 作者インタビュー
「特別じゃない日」をテーマに描き続けている漫画家の稲空穂さん。作品をまとめた単行本の第4巻「特別じゃない日 思い出の映画館」(実業之日本社)が1月18日に発売されました。発売前重版が決定するなど、注目度の高い本作。テーマは「映画」で、ミュージカルからホラーまで、さまざまなジャンルの作品にまつわるエピソードを描いた稲さんに、その意図を取材しました。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎) 【マンガはこちら】気乗りせず映画館デートでミュージカル 男性に訪れた意外な〝結末〟
稲さん「実はホラー映画が好き」
――2巻のテーマは「猫」、3巻のテーマは「ごはん」でした。今回は「映画」です。お好きなものを描いているのだな、と思ってもよろしいでしょうか(笑)。 はい、猫もごはんも映画も好きです(笑)。映画は昔から好きですね。 ――4巻のなかで取り上げられている映画のラインナップは、ホラーが多めですよね。少し、これまでの稲さんの作品のイメージとは違うというか……。 (一同笑)。ゾンビ映画がすごく好きなので。(同席した)編集者さんが「稲さんが好きな作品なら何でもウェルカムだよ」みたいに言ってくれるから、調子に乗ってしまったかもしれません。 ――『サウンド・オブ・ミュージック』のあと、『ミッドサマー』『新感染 ファイナル・エクスプレス』『悪魔の毒々モンスター』と続いていきます。 ちょっと趣味に走りすぎちゃったかな(笑)。家族からは「大丈夫なの?」と言われたりしたんですけど。編集者さんが提案したのは『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ! 花の天カス学園』だけですね。 ――今回、どうして映画をテーマになさったのでしょうか。 テーマは一巻一巻、編集者さんと決めて作っています。もう4巻なので、そろそろ私の好きなジャンルで、いつも観ている映画だったら、作品に落とし込みやすいのかなと思って。今までのテーマとはちょっとだけ違うものを、あえて選んでみました。 自分が思い入れのあるテーマには、私にしか表現できないものもあるかもしれないと。