東証70年ぶり取引時間延長…“午後3時半”までに 新制度導入で終値の透明性向上 投資機会の拡大を図る国際競争力強化への一歩
日本市場の競争力強化と投資家拡大に向けた一歩
「Live News α」では、経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。 堤礼実キャスター: ーー70年ぶりに東証の取引時間が延長されましたが、この動きをどのように見ていますか? 経済アナリスト・馬渕磨理子さん: 日本市場の魅力を高める第一歩となりました。世界の市場に比べて、日本は取引時間が短くなっています。例えばニューヨークは6時間半、ロンドンは8時間半なのに対し、日本は今回30分延びて5時間半です。 取引時間を延ばすことで取引の機会を増やし、海外の投資家から見た日本市場の魅力を高めたい、市場参加者を増やしたいという狙いがあります。 堤キャスター: ーー国際競争力を高めたい狙いなんですね。 経済アナリスト・馬渕磨理子さん: そうですね、ニューヨーク証券取引所では 時間外取引も活発です。証券取引所の取引時間以外の時間に行う株取引、例えば、深夜や朝の時間にリアルタイムで株取引をするマーケットです。 ニューヨーク証券取引所は10月、この時間外取引を含めて、1日の取引時間を22時間に延長する計画を発表しています。これにより、日本でも日中に取引しやすくなり、世界での投資家の獲得競争がさらに増していきます。
決算開示に変化が求められ投資家への配慮が重要に
堤キャスター: ーー投資家獲得の側面が強いようですが、取引時間の延長で企業への影響はありますか? 経済アナリスト・馬渕磨理子さん: これまでは、3時にマーケットが閉まったあとに決算の開示をする企業が約8割でした。しかし近年では、トヨタが取引時間中に決算開示をするようになりました。 マーケットが動いている間に決算開示をすることで、株価に影響を与える懸念がありますが、一方で今では、決算を受けたマーケットの反動がダイレクトに出る方が健全ではないかともいわれています。 加えて、決まった決算の数字を、あえてマーケットが閉まるまで待つことや、数字を開示しない時間が長くなるほど、インサイダー取引の機会が増えるともいわれています。 さらに開示の遅れは「投資家軽視」との批判もあります。取引時間の延長を受けて、決算発表の時間を遅らせる企業が相次ぐ一方で、富士フイルム、ヤマダホールディングスなどは決算発表の時間を前倒しするとしています。 個人投資家の取引や、海外投資家の参加を増やすためにも、今回の取引時間の延長に加えて、企業の開示姿勢も変化が問われていきそうです。 堤キャスター: たかが30分、されど30分、この延長と新たな仕組みが市場の活性化につながることを期待しつつ、今後の動向に注目していきたいと思います。 (「Live News α」11月5日放送分より)
Live News α