「国の重要文化的景観」住民から“返上”の声 “縛り”で暮らしにブレーキ 「申請うんざり」「荷物」焼き物の里で物議
坂本浩二さん: 「日田市に住むのも恥ずかしい。日田市民って何なんだって思いますね。何を間違えてルールを適用したのかが一番問題で、文化的景観をどう考えていくのか行政にいま問いかけています」 ■「重要文化的景観」市民は“返上” 市長“それは本音ではない“ 一方、別の窯元では相次いだ豪雨被害を受けて、2月から敷地内の小屋を解体して新しく建て替える予定にしています。しかし坂本さんへの誤指導もあったことから「全員が不安だと思う。行政の言うことを聞いていたら成り立たなないので本当に困っている」と不安を抱えています。 誤指導問題をきっかけに地元では『重要文化的景観』に対する批判的な意見が沸き起こり始めています。 (地元住民)「壁に色を塗るだけでも、いちいち申請が必要でうんざり」「荷物です。縛りと表現してしまうが、そういう風にみんな受けてしまっているので」「行政がちゃんと管理するならともかく、対応があいまいだし」「文化的景観を続けるよりも反対です。やめたいなあという人が多い」 市への不信感を背景に、重要文化的景観の選定返上を求める住民の切実な声。市長はどう考えているのでしょうか。 椋野美智子市長: 「選定を解除したいというのは、本音ではないと思う。私どもの対処の仕方が反省すべき点で、そのままだったら返上したいと受け止めているので、そこを改善したい」 小鹿田焼の里の景観に関する委員会の委員長を務める九州大学の藤原恵洋名誉教授は、住民に寄り添う姿勢が行政に見られなかった点が問題だと指摘します。 藤原恵洋名誉教授: 「最も重要な立場にいる地元住民が納得できないまま動いてしまっていたとすれば、選定された16年前にさかのぼって、これがどうだったのか問われ直さざるを得ない」 本来、誇らしいはずの重要文化的景観が暮らしにブレーキをかけてまで必要なものなのか――地元住民の声を真摯に受け止めた行政運営が問われています。
大分放送