トラウトサーモン海面養殖1.4㌧水揚げ 釧路副港実証実験
北海道釧路市の釧路副港で実証実験を行っている海面養殖のトラウトサーモン(ニジマス)が29日、初水揚げされた。昨年のように極端な海水温の上昇はなく、順調に成長したサーモン約1・4㌧(648匹、平均2・22㌔)が陸上げされ、生残率も昨年を大幅に上回る約90%に達した。 実証実験は、市や水産関係機関などでつくる「釧路市養殖事業調査研究協議会」(会長・市原義久釧路水産協会専務理事)が、水産商社ニチモウ(東京)の協力を得て、2022年度から3カ年で実施。1年目のギンザケに続き、2年目はトラウトサーモンの養殖を行ったが、昨年の異常気象で海水温が20度を超えたこともあり、水揚げ回数は2回、生残率は37・3%にとどまった。 最終年度の今年はトラウトサーモンに再挑戦しており、6月12~13日に約4000匹の中間種苗(平均1・3㌔)を投入。懸念された海水温は20度を超えることなく、海水馴致(じゅんち)の時間を延長したことや餌に塩分を含ませるなどの工夫が奏功し、水揚げ時点での生残率は約90%だった。 この日は、北防波堤付近の外海に設置されたいけすから水揚げしたトラウトサーモンを、午前6時ごろに陸上げした。午後2時には釧路水産センターで関係者を招いた報告会が行われ、出席者は事業概要や現在の状況について説明を受けたほか、刺し身にしたトラウトサーモンを試食。市原会長は「脂も適度に乗っており、さっぱりして食べやすい」と太鼓判を押した。 今後は10月中旬ごろまでに4~5回水揚げを行う予定。ニチモウの戸川富喜養殖開発室室長は「サイズのばらつきも少なく、順調に育ってくれた。この時期にトラウトサーモンの海面養殖ができるのは道東だけなので、事業化に向けて関係者の皆さんと協議していきたい」と意欲を示した。 この日水揚げされたトラウトサーモンは、31日にも市内などへ流通する予定。
釧路新聞