ソウル警察庁近くのゴミの山から抜け出せないおばあさん [韓国記者コラム]
【09月20日 KOREA WAVE】ソウル市鍾路区のソウル警察庁近くで暮らすおばあさんを知っている警察官は多いだろう。ソウル警察庁の東門から左に30歩ほど進むと、彼女の姿を見つけることができる。おばあさんは、空のペットボトル、古びた傘、シート、棒、毛布、新聞、木の葉などが積み重なったごみの山の上に座ったり、寝転んだりしている。 彼女の腕は腫れており、肌は日焼けして黒ずんでいる。猛暑や強風の中でも、この場所を離れることなく、いつも座ったり横になったりしている。年齢は60代以上と推測される。 この場所を通りかかる警察官や通行人たちは、しばしば彼女から怒鳴り声を浴びせられる。意味不明な言葉を叫んだり、棒を振り回したりすることもある。 筆者は2022年12月からこの地域を取材しており、彼女をよく見かけていた。典型的な路上生活者だと思っていた。 しかし、最近、ソウル警察庁の職員から彼女の背景を聞くことができた。彼女には息子がいて、非武装地帯(DMZ)の監視哨(GP)で勤務中に亡くなったという。その後、彼女は息子の死因を究明するため、軍服を着て「MP」と書かれた軍警察の腕章をつけ、大統領官邸の近くで抗議活動をしていたという。 軍の事故や自殺に関する統計によると、最近8年間で927件の軍での事故が発生し、155人が亡くなっている。軍の自殺者数は2021年に78人、2022年に66人、2023年には58人となっている。 秋夕連休の15日午後、筆者は再び彼女の元を訪れた。彼女は普段と違って穏やかな表情で、「ただ休んでいるだけ。しばらく休んだら行くよ」と語った。彼女の生活状況や支援について尋ねたが、明確な答えは得られなかった。 通り過ぎる多くの人々は、彼女を無視するか、ちらりと見るだけで通り過ぎる。ある警察官は「彼女を見ると、自分の母親を思い出す。ここを通るたびに心が痛む」と語った。 このような路上生活者一人ひとりには、誰もが知らない背景があり、彼らの生活は社会の不安定な基盤の上で成り立っている。 おばあさんのそばを行きかう人々の反応を見て感じたのは、共感、憐れみの情、愛情は、イデオロギーや学歴、地位に左右されないということだった。【news1 イ・スンファン記者】 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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