九州3例目のライドシェア、熊本市周辺で開始 タクシー会社が運営
タクシー会社が運営主体となり、一般ドライバーが有料で利用者を運ぶ日本版ライドシェアのサービスが15日、熊本市周辺の熊本交通圏(熊本市、合志市、菊陽町、嘉島町、益城町)で始まった。タクシーの稼働台数や運転手の不足を解消し、住民や観光客の移動ニーズへの対応を図る。 九州では福岡市周辺、佐賀市に続き3例目。週末の繁忙時間帯にあたる金、土曜の午後4時~翌朝午前5時台に運行する。 熊本市タクシー協会によると、サービスを始めたのは、TaKuRoo(タクルー)▽熊本タクシー▽昭和タクシーの3社で計13台が運行許可を受けている。ほか数社も12月中の開始を準備している。 車両はタクシー会社の遊休車両や自家用車を使い、ドライバーは事前に安全研修を済ませ運行に臨む。料金はタクシーと同水準。予約や決済は、会社により異なり、スマートフォンの配車アプリか、通常の電話・現金など。 出発式がこの日、同市西区のタクルー本社であった。ドライバー代表の安全運転宣言やテープカットの後、ライドシェアを示す表示灯やステッカーをつけた車両が、関係者の見送りを受けて出発した。ドライバーの一人で自営業の小林可奈さん(20)は「もともと運転が好きだった。本業の空いた時間を有効活用して働きたい」と話した。【中村敦茂】 ◇移動ニーズに対応、ドライバーには研修 熊本県タクシー協会会長を務めるタクルーの小山剛司(おやまつよし)会長に狙いなどを聞いた。 ――導入の背景は。 ◆熊本地震以降タクシーの稼働が減り、新型コロナウイルス禍でさらに悪化した。その後街の活気が戻る一方、稼働は十分回復せず、移動を求める方にとって車が不足していた。 ――どんな効果を想定しているか。 ◆一つは繁忙時間帯のお客様の要望に応えられる環境づくり。また我々事業者には新たな人材の掘り起こしだ。体験入社的にも使えると期待している。 ――安全をどう担保していくか。 ◆ドライバーには座学、運転適性診断、実地の3項目の研修を受けてもらう。タクシー事業者の管理で運行し、安心していただけるものにしていきたい。