埼玉にあった全国唯一の国立“女性会館” 閉鎖の危機…広大な敷地に巨大施設、一転して「存続」へ 地元は歓迎「英断」 国が進める新組織の拠点誕生へ
国が在り方の見直しを検討していた埼玉県嵐山町の国立女性教育会館について、政府は30日、独立行政法人としての女性教育会館を改組し、機能強化した新組織の主たる事務所を現在地に残して男女共同参画に関する拠点として活用する方針を明らかにした。内閣府の岡田恵子男女共同参画局長が同日、県庁で大野元裕知事と佐久間孝光嵐山町長に国の方針を伝えた。 【写真2枚あり】国立女性教育会館の外観 国道254号沿いに立地する大規模施設。本館と定員600人の講堂を備えた研修棟(24室)、宿泊棟(160室)、体育館などがある
方針では、(1)新たな中核的組織については、女性教育会館が行ってきた研修、調査研究、関係機関の連携促進など事業内容の高度化を図る(2)必要な機能を本館に集約し、老朽化した宿泊棟、体育施設などは2030年度までに撤去を目指す。機能集約に当たり、地域との交流に資する活用ができるよう検討する―などの内容が示された。 女性教育会館は、全国で唯一の女性教育に関する国立施設として1977年に設立された。昨年11月、移転を前提とした機能強化に関する申し入れが県や町に行われ、嵐山町議会が存続を求める意見書を採択していた。 町の意向を踏まえ、県は昨年12月、関連する国のワーキンググループの議事録などを基に、「移転決定までのプロセスが不透明で受け入れることは困難」と、移転に関する意見がなかったことなどを指摘した意見書を大野知事が作成し、内閣官房長官宛てに提出した。 国の方針転換に、佐久間町長は「英断に心から感謝を申し上げる。新法人による事業には所在地として積極的に協力したい。付帯施設の撤去は大変残念だが、地域との交流に資する本館改修も計画していただいており、町や近隣自治体への配慮が感じられる」と謝意を示した。
大野知事は「地元の意向に沿うもので、大いに評価したい。中核的組織にふさわしい先進的取り組みの実施は、県としても可能な限り協力したい。埼玉から男女共同参画の取り組みが広がることを期待している」と述べた。 ■宿泊棟160室、研修室24室の大型施設 国立女性教育会館は全国で唯一の女性教育に関する国立施設として1977年に開館し、今年47年目を迎える。本館と定員600人の講堂を備えた研修棟(24室)、宿泊棟(160室)、体育館など総延べ床面積2万6000平方メートルの大規模施設。