蚊による感染症 防ぐには? デング熱の国内患者 昨年の約3倍に…オーストラリア北部ではロスリバー熱、タイではジカ熱が流行
教えて!ヨミドック
病気や健康の疑問に、読売新聞の医療サイトのキャラクター、ヨミドックが答えます。今回のテーマは「蚊による感染症」です。 【図解】虫よけスプレーの効果的な使い方
Q 暑くなって蚊が出てきた。刺されたらいやだな。 ヨミドック 昨年から、世界各地で蚊に媒介される感染症の報告が相次いでいます。オーストラリア北部ではデング熱に似たロスリバー熱が流行し、タイではジカ熱の報告が増えています。
Q 蚊が媒介するの? ヨ デング熱やマラリアなどは、病原体を保有する人を蚊が刺し、また別の人を刺すことで、人から人に感染します。豚や猿など、ウイルスを持つ動物を刺した蚊が、人を刺すことで感染する日本脳炎や黄熱もあります。なかでも、デング熱は患者数が多く、東南アジアや南米で感染が拡大しています。 Q デング熱が増えてる? ヨ 日本でも海外からの観光客が増加する中で、国内で発症する例が増加傾向にあります。新型コロナの影響で、2020年以降、デング熱の患者は激減しましたが、23年は175人に増えました。今年は5月26日までに74人と、23年の同時期の約3倍です。 Q デング熱はどんな病気? ヨ ヤブ蚊が媒介し、刺されてから1週間ほどすると、発熱や全身の発疹がみられます。約5%がショック症状や出血を起こし重症化しますが、医療機関を受診すれば、亡くなるケースは少ないとされています。
Q 温暖化は関係ある? ヨ 高温と多雨が、蚊の生息に影響する可能性が考えられます。雨が多いと、蚊の幼虫の生育に不可欠な水たまりが増えますよね。 また、日中の研究チームの実験では、マラリアを媒介する蚊は、気温が高くなるほど成長速度が早まり、さらに、生存日数が長くなることが示されています。 Q どうすれば防げる? ヨ 現時点では、蚊が媒介する感染症は、国内ではほとんど見られません。デング熱の患者も、海外から入ってきた例を除けば、流行が起きているわけではありません。まずは蚊に刺されないように、虫よけスプレーの効果的な使い方を知っておきましょう。 海外では、デング熱を媒介する蚊は、昼間に刺したり、都市部にも生息したりしています。リゾート地のほか、水たまりのあるゴルフ場やお寺にいる可能性もあります。海外旅行の際は、渡航先の感染症情報によく注意し、対策をとりましょう。(余門知里/取材協力=浜田篤郎・東京医科大客員教授、小野雅司・国立環境研究所客員研究員)