北薩トンネル内で発生の土砂流入は「外力でトンネルが崩壊した可能性」 専門家が現地調査、復旧には「相当程度の期間」
鹿児島県の出水市とさつま町にまたがる北薩トンネル(4.85キロ)で発生した土砂の大量流入を巡り、国土交通省などの専門家ら7人が30日、現地調査をした。水圧など何らかの外力が加わってトンネルが変状し崩壊した可能性を指摘した。 【写真】北薩横断道路の全面通行止め区間を地図で確認する
調査には国土技術政策総合研究所や土木研究所、九州地方整備局が参加。被災した壁面や路面、湧水の状況を目視で確認した。他に顕著な崩壊などは見られなかったという。 九地整の安仲努・道路保全企画官(57)は被害拡大の可能性について「現時点では何とも言えない。継続的な観測が必要」と指摘。「復旧には相当程度の期間がかかるとの感触を持った」と話した。 トンネル内の湧水には自然由来のヒ素が含まれ、同市側の入り口付近に設置する施設で処理し高尾野川に排水している。25日から処理機が2度停止し、県は同日から高尾野川で水質を調査しており、29日までにヒ素濃度は農業用水の基準値を超えていない。 県によると、トンネルが走る紫尾山では10~16日の降雨量が566ミリに達した。25日に路面が約50メートルにわたり最大約40センチの隆起したことが判明。26日に壁面コンクリートが剥がれ、水や土砂が流入し始めた。25日から地域高規格道路「北薩横断道路」さつま泊野インターチェンジ(IC)-高尾野IC間で全面通行止めが続いている。
南日本新聞 | 鹿児島