ポルノ、米津玄師、KANA-BOON、優里……『僕のヒーローアカデミア』数々の名曲を生んだストーリーの奥深さ
KANA-BOON「スターマーカー」は作品屈指の名シーンを彩る
■KANA-BOON「スターマーカー」(第4期 第2クールオープニングテーマ) ロックバンド・KANA-BOONの「スターマーカー」は第4期第2クールのオープニングテーマ。フジファブリックの金澤ダイスケがゲストとして参加することで、キーボードの煌めく音色が印象的に響く1曲だ。第4期第2クールでは雄英高校の文化祭開催に際し、デクが所属するA組のクラスメイトたちがロックバンドを結成。アニメ19話(通算82話)『文化祭って準備してる時が一番楽しいよね』ではバンドメンバーの選定や楽曲の決定に際し、”4つ打ち””EDM”といったフレーズも飛び出し、音楽ファンとしても思わず唸ってしまうような展開に。前章のヒーローインターン編にて重要な役どころとなり、心身に傷を負った少女・壊理を文化祭に招待し、彼女の笑顔を取り戻すことを目的にA組はバンド活動に奮闘する。そんなA組たちの奮闘にKANA-BOONの「スターマーカー」はそっと、しかしぎゅっと寄り添う。〈最低な夜を抜けて 目と目 耳と声 繋ぐダンスフロアで踊ろう さぁ夜が明けるまで〉というフレーズはまさに、壊理に対するデク、そしてA組からの想いそのものだ。 ■優里「カーテンコール」(第7期 第2クールオープニングテーマ) 現在放送中の第7期第2クールのオープニングテーマは優里の「カーテンコール」だ。傷つき、ぶつかり合い、葛藤しながらながらヒーローとしての在るべき姿を目指し続けるデクとそのクラスメイトたち。対峙する敵(ヴィラン)たちにもそれぞれの矜持や正しさがあり、悪とはなにか? 正義とはなにか?というテーマを常に内包し続けてきた。〈誰もかれもが誰かのために歌っている〉というフレーズは、これまでの『ヒロアカ』における戦いを歌に置き換えながら示したフレーズだ。それぞれのヒーローやヴィランたちが自分、そして誰かのために死力を尽くしながら戦い続ける姿が目に浮かぶような「カーテンコール」は、漫画、アニメ共にクライマックスを迎える『ヒロアカ』に相応しい1曲となった。 ジャンプ作品でありつつもアメコミの文脈を受け継いだ作品として、新しい少年漫画の王道の形を作り出した『僕のヒーローアカデミア』。単なるバトルものだけでなく正義の有り様や家族、仲間といったテーマも深く描く『ヒロアカ』の作品性に共鳴するように、様々な名曲が生まれてきた。とりわけ、デクの”無個性”でありながらも自分の憧れや夢に向かって努力を惜しまない泥臭くも美しい姿勢がどの曲にもフィードバックされているように感じる。今夏はこれまでの『ヒロアカ』主題歌を傍らに、原作コミックの最終回や放送中のアニメ、そして公開中の劇場版作品を楽しんで欲しい。
ふじもと