高場乱や伊藤野枝など題材に70作以上を創作 「女講談師」の神田紅さんが自伝出版
福岡市で迫力満点の記念独演会
福岡市出身の講談師、神田紅さん(72)が自伝「紅流 女講談師として生きて」を出版した。男社会の講談界に飛び込み、女性講談師のパイオニアとして道を切り開いてきた人生を赤裸々につづっている。19日には市科学館サイエンスホール(中央区六本松)で出版記念の独演会を開き、福岡ゆかりの女性2人を題材にした創作講談を語った。 神田紅さんの自伝「紅流 女講談師として生きて」 紅さんは筑紫野市二日市生まれ。西日本鉄道の社員だった父の転勤で福岡市に転居し、百道中、修猷館高へ。進学した早稲田大を中退して俳優になったが、講談の二代目神田山陽師匠に出会い入門。第一線で活躍し続け、日本講談協会の会長を務めている。 著書では俳優を目指したきっかけが失恋だったこと、講談の兄弟子から「早くやめろ」といびられながらもへこたれなかったことなどを、時にジョークを交えながら講談師らしい語り口調で書いている。 これまで創作した講談は70作以上。独演会では、男として育てられ政治結社「玄洋社」の母と呼ばれた高場乱(おさむ)、女性解放運動に身を投じながらも憲兵から虐殺された伊藤野枝を語った。 身ぶり手ぶりに加え、「パーン、パンパン」と張り扇でリズムを取る語りは迫力満点。紅さんは「福岡の女はすごかとです。彼女たちの情熱を語り継ぐのが私の使命」と話していた。 自伝「紅流 女講談師として生きて」は、1760円(クラウドブックス刊)。