開票進む米大統領選 激戦7州が勝敗左右 少なくとも3州で勝利必要
米大統領選は5日投票が行われ、即日開票が始まった。民主党のカマラ・ハリス副大統領(60)と共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)による大接戦となっており、激戦7州の行方が勝敗を左右する。激戦州の一部では5日夜(日本時間6日昼ごろ)にも結果が判明する可能性がある。前回の2020年大統領選と同様、トランプ氏が一方的に「勝利宣言」を行う可能性があり、ハリス陣営は対応を検討している。 【図解でわかる】米大統領選の仕組み 大統領選は人口に応じて全米50州と首都ワシントンに割り当てられた計538人の選挙人の獲得数を競う。米東部時間5日午後9時半(日本時間6日午前11時半)時点で、ハリス氏は50人、トランプ氏は154人を獲得。当選ライン(270人)に達するには、激戦7州のうち少なくとも3州で勝つ必要があるが、激戦州の勝敗はまだ明らかではない。 ハリス氏は5日、首都ワシントンに滞在し、激戦州のラジオ番組への出演やソーシャルメディアの発信で、有権者に支持を呼びかけた。当選すれば女性初、黒人としてはオバマ元大統領に次いで2人目の米大統領となる。5日夜は「歴史的黒人大学」として知られる母校の名門ハワード大学で集会を開き、演説する予定だ。 トランプ氏は地元の南部フロリダ州で投票を済ませた後、「非常に自信がある。過去3回でベストの選挙戦だった」と記者団に語った。敗北した場合、結果を受け入れるかどうかが懸念されているが、「公正な選挙であれば、真っ先に受け入れる」と述べるにとどめた。5日深夜に集会で支持者を前に演説する方針だ。 トランプ氏は、民主党のジョー・バイデン氏(現大統領)と対決した前回20年、開票途中で一方的に「勝利」を宣言。民主党支持者の利用が多い郵便投票の開票が進むにつれて形勢は不利になったが、「不正によって選挙を盗まれた」と訴えた経緯がある。 今回も5日夕にソーシャルメディアへの投稿で、激戦州の東部ペンシルベニア州フィラデルフィアや中西部ミシガン州デトロイトで、根拠なく一方的に「不正行為が起きた」と示唆。これまで「公正な選挙であれば、結果を受け入れる」としてきたが、早くも混乱の予兆がみられる。 5日には連邦議会の上下両院選も行われた。上院では共和党の4年ぶりの多数派奪還が有力視されているが、民主党も重要州で接戦に持ち込んでいる。下院は大接戦で結果判明までに時間がかかる見通し。次期大統領が政策を円滑に進めるには、予算編成権を持つ上下両院で所属政党が主導権を握ることが重要だ。大統領と議会多数派の政党がねじれた場合、政策を思うように進められなくなるリスクがあり、議会選の行方も注目される。【ワシントン秋山信一】