『パリピ孔明』“前園ケイジ“関口メンディーの高笑いに戦慄 熾烈を極める頭脳戦の面白さ
英子(上白石萌音)と共に音楽で天下統一を目指す孔明(向井理)。難攻不落の壁を次々に破り、ようやく超大型音楽フェス「サマーソニア」の出場権を手に入れたが、そこに立ちはだかるのがスーパーアーティストの前園ケイジ(関口メンディー)だ。 【写真】ほぼ下着の格好をした“前園ケイジ“関口メンディー 『パリピ孔明』(フジテレビ系)第9話では、孔明と前園がついに直接対峙。前園が英子という若い芽を潰しにかかる本当の目的が明らかとなった。 サマーソニアの開催まであと少しとなったある日、突然BBラウンジを訪ねてきた前園は小林(森山未來)に「あんたに言われたこと一生忘れないから」と言い放つ。小林はすっかり忘れていたが、まだ前園が売れる前に二人は出会っていた。 小林と世界的シンガー、マリア・ディーゼル(アヴちゃん)の切ない過去が語られた前回。デビュー前のマリアを間違った方向で売り出そうとしたことで決別し、死んだように生きていた小林は、今は亡きBBラウンジの前オーナーに拾われた。その際に言われたのが「若いやつ育ててみるのも悪くねえぞ」という言葉だ。 それもあってか、小林はかつて前園の曲が2人組ロックバンド、イースト・サウスの曲に酷使していることを指摘し、「本気でやるなら自分の音楽を突き詰めろ」とアドバイスを送った。あくまでもそれは前園のためを思っての言葉だったが、イースト・サウスに憧れていた彼は図星を突かれてプライドが傷ついたのだろう。お門違いも甚だしいが、小林が現在育てている英子を大手レーベルに移籍させ、飼い殺しにすることを企んでいた前園は「これで終わりじゃないから覚悟しといて」と孔明に宣戦布告して去っていく。 その言葉通り、すぐさま孔明陣営に策を仕掛けてくる前園。彼の目論見は、孔明たちの大事な仲間であるKABE太人(宮世琉弥)を引き抜くことだった。サマーソニア出場権をかけたSNS10万いいね企画では、ライバルであるAZALEAへの痛烈な批判ラップでボーカル・七海(八木莉可子)の心に火をつけたKABE太人。彼の持つ言葉の力は孔明陣営に必要不可欠だが、前園はまるで孔明がその存在を軽んじているかのように、KABE太人の先輩でラッパーのダイナー(渡辺大知)を使って本人を洗脳しにかかる。 目をひん剥き、「面白いなぁ! 人のものを奪うのは」と高笑いする前園の姿に戦慄させられた人も多いだろう。普段はGENERATIONS from EXILE TRIBEやEXILEのパフォーマーとして、パワフルなダンスとラップで人々を魅了している関口。一方、お昼の情報番組やバラエティでは親しみやすいキャラクターでお茶の間の人気を得ており、美味しいものを食べた時の決め台詞「うメンディー!」は今や誰もが知っている。また、少女向け特撮ドラマ『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!』(テレビ東京系)ではファントミラージュのボスであるファンディーを演じ、子供からその親の世代までファン層が幅広い好感度No.1タレントといっても過言ではない。 そんな関口が、地位やお金に物を言わす悪役に抜擢されたことに当初は意外性があった。だが、音楽界の頂点に立つ王者としての風格は筋骨隆々とした体格と圧巻のパフォーマンス力を誇る関口だからこそ出せるもの。ヒール役に徹した役作りにも関口のストイックぶりが表れており、前園は孔明の最強にして最後の敵として申し分のないキャラクターとして成り立っている。 しかし、そんな前園とて三国時代に数多の英雄たちと互角に争っていた孔明をそう簡単に欺けるはずはない。問題はなぜ、KABE太人に俺はもう用済みなのかと問われた孔明が否定しなかったのかだが、おそらく二人は逆に前園を欺くために口裏を合わせているのではないだろうか。次週の最終回に向け、熾烈を極めていく孔明と前園の頭脳戦は非常に見応えがある。 また同時にゲストも豪華さを増しており、イースト・サウスのメンバー、南房役にゲスの極み乙女のベーシストとして知られる休日課長、東山役に自身もシンガーソングライターとして活躍する傍ら、菅田将暉やアイナ・ジ・エンドなどにも楽曲を提供している石崎ひゅーいが登場。2年前に活動休止したのち、前園のゴーストライターを務めていた二人のお金と夢との間で揺れ動く感情を表現した。彼らにも自分たちの音楽で食べていきたいという気持ちがあり、それが英子の新曲「Time Capsule」でふつふつと湧き上がる。こうして英子の歌で敵も味方も心が浄化されていくのが、孔明の目指す天下泰平なのだろう。孔明は元の世界に戻るまでに、その描いた未来に辿り着けるのか。偶然孔明と知り合った、水曜日のカンパネラのボーカル・詩羽が鍵を握っている可能性も頭に入れながら、固唾を飲んで見守りたい。
苫とり子