<ソチ五輪>ノルディック複合団体チームが明かしたメダル戦略
■勢いの乗ってソチ入りしたエースの渡部 一方で、ジャンプ台はノーマルヒル、ラージヒルともさほどクセがないという。渡部も「嫌いなジャンプ台ではない。飛びやすい、良いジャンプ台だと思う」と話す。 ただし、飛びやすいのはある意味、誰にとっても同じこと。「昨日(7日)の公式練習を見ていても、皆が同じようなところに着地していて、差がついていなかった。そうなったら走力勝負になる」と渡部は警戒心を見せる。だからこそ、いかにしてジャンプで抜け出し、良いポジションでクロカンをスタートするかにかかってくるということでもある。 ソチ五輪イヤーは年明けにインフルエンザにかかり、最悪のコンディションでの幕開けとなったが、「心と体のバランスを取るようにしながら調整してきた」と言い、1月17日のW杯ゼーフェルト大会(オーストリア)からレースに復帰。同26日のオーベルストドルフ大会(ドイツ)までの10日間でこなした個人戦4レースでは7位、7位、8位、3位と、最後に一気に上昇気流に乗ってソチにやってきた。 直近の大会だけではない。今季W杯の全成績を見ても10戦中2位が1回、3位が4回。残り5戦もすべて8位以内と安定感は抜群だ。 ノルディック複合の初戦は12日のノーマルヒル。 「トリノ、バンクーバー、ソチと3度目の五輪だが、心の底から金メダルを目指すと思えるようになるのにトリノ五輪から8年かかった。今はすべてを吹っ切り、思い切って競技に取り組もうと思っている。期待して見ていてください」 “キング・オブ・スキー”を目指すエースの渡部の目が輝いた。 (文責・矢内由美子/スポーツライター)