初めて炊き出しに参加し、ふぐ汁を振る舞った水森＝石川・輪島市

歌手、水森かおり（51）が27日、石川・輪島市で開催された能登半島地震の復興支援イベントに出演した。〝ご当地ソングの女王〟と呼ばれており、2008年には「輪島朝市」のヒットでNHK紅白歌合戦に出場。この日は朝市エリアで13年ぶりに同曲を熱唱し、炊き出しに初参加。地元の海産物を使ったふぐ汁約200食を振る舞った。 平安時代から約1200年の歴史を持つ輪島朝市。中心の朝市通りから近い交流施設、輪島マリンタウンに水森が登場すると、朝市エリアが久々の活気に包まれた。 水森は「皆さーん、輪島に帰ってきました！」と元気にあいさつし、2011年、「輪島朝市」の歌碑除幕式以来13年ぶりに朝市エリアで同曲を熱唱。地元の中高校生、一般で編成されたブラスバンドとも共演し「上を向いて歩こう」も披露した。 会場には約270戸の仮設住宅が隣接。被災者ら約2000人から「かおりちゃ～ん」と温かい声援を受け、「輪島とは一生のご縁。そばにいる気持ちで頑張りたいです」と絆を感じていた。 初参加となった炊き出しでは、名産のふぐを朝市組合が調理した約200食のふぐ汁を笑顔で配膳。本紙の取材に応じた水森は「多くの方に『頑張ってね』といっていただき、逆にパワーをもらいました」と感謝した。 08年に「輪島朝市」で紅白に6年連続出場した水森。元日の地震発生以降、「何かお手伝いをしたい」と考えていたが、「逆に迷惑になると思って…」と自重してきた。一方、4月末にはプライベートで輪島を訪問。今回、主催者のリクエストもあってイベント参加が実現した。 朝市通りは大規模火災で200棟以上が被害を受け、約5万平方メートルが焼失したが、通りの入り口にある歌碑は被害をまぬがれた。ただ、先月には豪雨被害も。水森は、寒さが厳しい冬を迎える被災者に思いをはせ「大変な思いをされている方に『歌で元気を届けに来ました』とは軽く言えない」と心境を明かした。 それでも会場では紅白出場を期待する声が多数あり「被災地の現状を把握しながら、自分は歌い続けるしかないし、紅白のステージで歌う姿をお見せしたい」。復興を願いながら、22年連続の紅白に向けて静かに意欲を燃やした。（山内倫貴）