有事の避難、初の意見交換へ 石垣市民対象、来月1日から
台湾有事などを見据え、石垣市は8月1日から、住民避難に関する市民との初の意見交換会を計4カ所で開く。政府は6月、先島諸島5市町村の住民や観光客約12万人を九州各県と山口県に避難させる計画を提示しており、市は避難方法などに関し、現時点での計画案を市民に周知する。市役所隣接地で整備する防災公園には地下駐車場として特定臨時避難施設(シェルター)が設置される予定で、市民の意見を設計に反映させる。 住民避難計画の策定は緒に就いたばかりで、5市町村、受け入れ側の自治体とも手探りの状態。意見交換で、当事者である市民からどのような声が上がるのか注目されそうだ。 意見交換会は1日に市民会館大ホール、2日に伊原間公民館、5日に川平公民館、6日に市役所1階コミュニティールーム(1階)で開かれる。時間は午後7時から。 政府は6月3日の九州地方知事会で、5市町村の避難先となる県を示し、了承された。石垣市は山口、福岡、大分、竹富町は長崎、与那国町は佐賀、宮古島は福岡、熊本、宮崎、鹿児島、多良間村は熊本の各県が受け入れる。 ただ、避難計画の具体化はこれから。石垣市の場合、避難には航空機を使い、福岡空港経由で避難先に向かうことが決まっているが、市防災危機管理課は「まだ細かいところまで詰め切れていない」としている。 九州各県と山口県も、まだ先島諸島からの避難民受け入れに同意したばかり。山口県ホームーページによると、村岡嗣政知事は6月18日の記者会見で「山口県は石垣市からの避難住民受け入れを設定されたが、どの地区とか何人程度といったものは具体的に示されていない。できるだけ早く示される必要があると思っている」と述べた。 大分県ホームページによると、佐藤樹一郎知事は6月5日の記者会見で「石垣市からの避難住民を、本県を含め3県が共同で受け入れる。ほとんど白紙に近い状態なので、こういうことだけは考えてほしいということを個別に言うような段階には至っていない。協力要請が来ているので、互いによく意思疎通、情報交換しながら、3県で調整し作っていくことになる」と発言した。 シェルターは逃げ遅れた住民などを武力攻撃から守るため、一時的に収容する施設となる。政府は6月28日、地下駐車場としてシェルターを整備する際の技術ガイドラインを公表。これを受け市は具体的な整備の検討に入っており、来年度着工、2026年度完成のスケジュールで作業を進める。 老朽化した消防本部庁舎の建て替え、消防西出張所建設の際にも地下シェルター併設を検討する。 先島諸島は台湾に近く、中国が台湾に侵攻した場合、住民生活にも何らかの影響が出ると見られる。