福祉法人の地域交流拠点が好評 県内外から年間30万人(徳島)
徳島県内で障害者福祉、介護など17事業を展開する社会福祉法人池田博愛会(中村忠久理事長)の地域交流拠点「箸蔵はしくらとことん」(三好市池田町)が4月で5周年を迎え、年間来場者数が初めて30万人を突破した。オープン初年度(7万5000人)の4倍に当たり、岡千賀子事務局長は「中山間地域にある交流拠点としては大きな数字だ」と喜んでいる。 移住者の呼び込みに向けて地域活性化を図る三好市から地域再生推進法人に指定されたことを受け、多くの法人施設が立地する三好市山あいの箸蔵地区で、地域住民や行政を交えて地域課題や必要な機能を検討した。 「商店や食堂が減って不便だ」「こどもの遊び場が少ない」といった声を踏まえ、にぎわい創出も見据えた交流拠点の整備を決断。ホームセンターの空き店舗を改修し、2019年4月にオープンさせた。整備費は国などの補助金や自己負担で賄い、総額1億8000万円。 食堂、産直市、障害者が働くベーカリー、交流スペースなどからなる複合施設で、2階には広々としたこどもの遊び場も備え、今では地域住民の憩いの場になっている。移動手段がない高齢者に向けては、登録したボランティアに送迎を担ってもらう試行事業にも取り組む。 従業員24人は法人の他施設から異動した福祉専門職で、見守りに加え、福祉に関する相談にも応じている。 地域のニーズを的確に捉え、来場者数は年々増加。昨今は、ベーカリーの日替わり食パンが口コミで広がり、香川、愛媛など県外から買い物に訪れる人も目立つ。台湾や韓国の福祉関係者の視察も受け入れている。 岡事務局長は「こどもから高齢者まで安心して過ごせる環境でリピーターになってくれる人が多い。SNSなど情報発信の得意な職員がいることも大きい」と指摘。「地域がにぎわっていないと移住者も増えない。一層来場者を増やしていきたい」と意気込んでいる。