東京医大入試不正で内部調査委が会見(全文1)2次試験で女子差別的得点調整
贈賄疑惑の概要
まず本贈賄疑惑、まだこれは裁判も始まっておりませんのであえて疑惑と言わせていただきますけれども、それに関わる行為者が誰であるかという特定の問題であります。で、調査いたしました結果、当該行為者は両氏を含む本学関係者であるとの事実が優に認定できました。で、次が本疑惑に係る、法的評価で言うところの賄賂についてであります。これは平成30年度一般入試を受験した文科省局長のご子息、現在本学の1年生です。で、以下Sくんということで呼ばせていただきたいと思いますが、このSくんに対し点数を加算した上、合格者地位を付与したことだと、このようにされたわけであります。 そこでわれわれは個人の法的責任を追及することはありませんので、この生の事実自体があったのかどうかということについて調査いたしました。その結果、今、申しました事実関係が優に認められました。優に認められたという表現を二度使ったわけですが、これは十分訴訟リスクにも耐えうる認定であるという趣旨です。今後グレードが下がるに従いまして、認められる可能性があるとか、可能性なしとしないとか、可能性高いというようなことをそれぞれ申しますので、その最後の点をよくお聞き取りいただければ幸いです。 このSくんの点数加算、これはどういうものであるかということを結論から申しますと、募集要項になんら記載のない不正なものでした。で、不正な加点と先ほど言いました合格者地位付与の内容、手法等について次にご説明足します。 まず第1次試験です。2614人中1018人が女子でありました。英、数、理でありまして、理科系のところだけが2科目選択と。マークシート方式です。ただし数学の一部のみが記述式でありました。客観的に点数が出てくるということにご留意いただきたいと思います。400点満点でありました。この1次試験におきましてSくんのもともとの点数でありますが、226点。もともとの順位は282位でありました。で、このようなSくんのもともとの得点順位につきまして、10点を不正加算した事実が認められました。その結果、Sくんの点数は236点という、これは偽装点数であります。その結果Sくんの順位も上がりまして、偽装順位は169位に上がりました。1点に非常に数人から10人といった多数の人が実は重なっているんですね。それでこのような順位が動いたということであります。で、この1次試験の合格者ですが、試験が終わったあと、結果的には451位までが1次試験合格者であるということになりました。いずれにしましてもSくんは偽装順位169位で2次試験の受験資格を得たと。要するに足切りを突破したということであります。 次に2次試験であります。2次試験は451人、今申し上げました。これが受験いたしまして、このうち148人が女子受験者でありました。これは論文式です。前の客観的に数字が出るというのではなくて、試験官の主観が入る試験でありますけども、これは満点が100点でありました。この100点満点でSくんの得たもともとの点数でありますが、それは55点でした。ところが、これはあとからまた複雑なのでまとめて説明しますけれども、この2次試験におきましては重大な女子差別的要素を含む得点調整がなされました。その結果、Sくんにつきましては10点が不正加算されました。従って1次試験の236点と合わせまして今言った10点加算後の65点を足しますと301点になりました。これは偽装の点数であります。で、その結果、Sくんが偽装順位87位ということで、2次試験合格者の地位が付与されたのであります。 この87位という点数でありますけれども、かねてこの一般入試の正規合格者は75位まで、75人ということに決定されておりました。しかしながらSくんより上位の成績を収めた者の中で、2次試験のうちで適性試験、心理テストのような問題がありますけれども、これで不合格になった者、あるいはセンター試験の利用者、これも抜けてまいりますので、これらが抜けた結果、Sくんは結果として偽装順位が74位に上がりました。そして正規合格者が75人でありましたので、その75人中74位という地位を得たと、こういうことが2次試験の結果であります。 なお、正規合格者発表後、この正規合格者の中から、ほかの大学が第1志望であるということから抜けていった受験者がおります。そのような場合にはどうなるかといいますと、正規合格者とは別に発表された補欠合格者の中から順番に繰り上げ合格となるというシステムになっておりまして、その繰り上げ合格者は結果として226位までが繰り上げ合格になったことをご説明いたしたいと思います。 【連載】東京医大入試不正で内部調査委が会見 全文2へ続く