松下洸平「光る君へ」周明の20年の空白を語る 加齢表現は両親を参考に
「以前の周明って自分の命さえ軽視していたと思うんです。いつ死んだって構わないと思って生きてきた彼が、まひろに“死という言葉をみだりに使わないで”と言われたことも大きかったんじゃないかなと。ともすれば、あの一件の後に、もう失うものが何もなくなって、自ら命を絶つことも考えたはずなんですよ。でも、そこを救ってくれたまひろの強さがあったから、20年以上心の中で消えずにいたんじゃないかなと思うんですよね。まひろのために一人でいたわけではないと思いますけど、まひろに対する想いとしてはやはりそこが大きかったんじゃないかなと思います」
なお、まひろと周明の年齢については「周明が少し上」と認識しながらも「演じるうえでは年齢差はあまり意識していなかったですね。まひろが若いから騙せると思ったわけではなく、彼女の一挙手一投足から、ここ以外の世界のことを知らない若さみたいなものを感じとっていたような気がして、だからこそ使えるって思ったし、騙せると思った」と話す。
一方で、50代になった周明の加齢表現については連続テレビ小説「スカーレット」での経験をふまえながら構築していったという。
「『スカーレット』でも1度経験しているんですけれども、しばらく僕の出番がない時期があって、再登場したときにはいきなり50代になっていたんですね。そのときはメイクで白髪に塗ったりもしましたが、加齢を出すのにはどうしたらいいんだろうと考えて、姿勢を少し前かがみにするようにしました。僕もたまに実家に帰ると、父親や母親がちょっとずつ小さくなっている気がして、その小ささが加齢だなと思うので。なので、周明についても前はすっとしていたので、今度は少しだけ腰を曲げるようにしましたが、大きく芝居を変えることはしませんでした。憑き物の取れたような周明をイメージして、少し話すときのスピードを落としたり、表情を柔らかくするといったことは意識してやっています」
第46回ラストは、異国の勢力が襲来し、周明がまひろをかばって射貫かれるショッキングな場面で幕を閉じたが、果たして周明の安否は……?(取材・文:編集部 石井百合子)