復興願う港町に活気 新湊曳山まつり 提灯山と花火
国の重要無形民俗文化財「新湊曳山まつり」は1日、射水市新湊地区中心部で行われ、港町が活気に包まれた。新湊は能登半島地震による液状化で道路や宅地が傾くの被害があった中、提灯(ちょうちん)山の重厚や「イヤサー」の掛け声に住民の笑顔が広がった。 【写真】点灯された提灯山の上空で輝く花火 クロスベイ新湊で行われた提灯山の一斉点灯では、「ユネスコ無形文化遺産拡張提案へ」や「がんばろう!北陸」と書かれた懸垂幕が掲げられ、復興を願う花火が打ち上げられた。 巡行には、七尾市石崎町の石崎奉燈祭に参加する竹田一平さん、石倉哲也さんの2人が昨年に続いて参加した。「越中祭青年会」は地震発生直後、物資支援などボランティア活動を行っており、恩返しの気持ちで参加した2人は「今までの支援には本当に感謝している。少しでも祭りの盛り上げに関わりたい」と話した。 華やかな花傘を付けた花山13基が越中浜往来や地震の被害が大きかった港町を巡行した。地震で自宅が傾いたという出町茂さん(73)は「暗い気持ちもあったが、例年通りやってもらえてうれしい」と笑顔を見せた。 ●ユネスコ追加提案で注目 まつりには1月、ユネスコ無形文化遺産の追加候補となったことで、多くの観光客や海外メディアが押し掛け、県が設けた有料観覧席は100人以上の利用があった。 奈良県から訪れた松田修さん(77)は「迫力があって、とても良かった」と話した。取材したユーロニュース(フランス)の動画は今月下旬から11月にホームページで公開され、世界各国で見ることができる。中野剛新湊曳山協議会長は「曳山の注目度が高まっていると実感した。より多くの人に魅力を発信していきたい」と話した。まつりは放生津八幡宮の秋季例大祭として約370年の歴史を誇る。 ●祭りの熱気取材 高岡支社「14歳の挑戦」 富山新聞社高岡支社で職場体験「社会に学ぶ14歳の挑戦」に取り組む高岡市南星中2年の松浦結優さん(14)は1日、新湊曳山(ひきやま)まつりを取材した。 松浦さんは山町の一つである法土寺町の串田芳信自治会長(69)にインタビューした。串田会長は13基の曳山があるのは珍しいとし、「祭りに参加できることが誇り高い」と話した。松浦さんは「一つの行事に集中して、熱くなっていることがすごいと思った」と話した。