WHITE SCORPION連載【第7回】ACE「スキルだけじゃ何かを届けることはできない」
’23年4月から約半年間にわたって行われたオーディション『IDOL3.0 PROJECT』を経て結成された秋元康総合プロデュースのアイドルグループ「WHITE SCORPION」(ホワイトスコーピオン)。 【画像】か、かわいい……!ACEのクールな表情が映えるポートレートカット ’23年12月7日に配信シングル『眼差しSniper』でデビュー。毎月新曲を発表し、3月7日に4th配信シングル『雑踏の孤独』をリリースした。 4月7日には5th配信シングル『Satisfaction graffiti』のリリースが控えている。 そんな彼女たちのパーソナルな素顔に迫るスペシャル連載がスタート。 連載第7回は、ACEのロングインタビューをお届け! ◆小学生から目指し続けた“アイドル“ ──約半年間のオーディション期間を経て、WHITE SCORPIONのメンバーになりました。 「長いオーディション期間だったぶん、最終合格者として名前を呼ばれた時の安心感、達成感は大きかったです。私はオーディションの途中にあった審査で2回脱落して、“ホワイトナイトシステム”(今回のオーディションで適用された、ファンによる投票で脱落者が復活できる制度)で復活できた形でもあったので。過酷でしたけど、弱かった心が強くなったし、ファンの方々との絆も深まりました。以前の私は本当に弱くて、何かあるとすぐに泣いてしまっていたんです(笑)。でも、オーディションを通して自分と向き合うことで、すごく強くなれました。あのオーディション期間があってよかったな、いい経験だったなと、今振り返ると思えます」 ──オーディションには、どんな思いで臨んでいたのでしょう? 「オーディションを通して、“アイドルとして恥ずかしくない自分”を作りたいとずっと思っていました。最終的にはそれを達成できたんじゃないかと思います」 ──アイドルになりたいと思ったきっかけを教えてください。 「5歳の頃に、テレビでAKB48さんを見たことがきっかけです。センターの前田敦子さんがキラキラしていて、笑顔が可愛くて。その姿を見てからアイドルになることが夢になって、その夢はずっと途切れなかったです。小学5年生からは地元の福岡にある養成所に入って、演技や歌、ダンスのレッスンを受けました。中学生になってからはいろんなアイドルさんのオーディションを受けたのですが、落選が続いていました」 ──どんなアイドルのオーディションを受けていたんですか? 「ハロー!プロジェクトさんのオーディションは2回ほど受けました。坂道グループさんにも興味はあったんですけど、私は坂道グループ的ではないかなと(笑)。坂道グループさんって、美しくて麗しい、高嶺の花のようなイメージがあるじゃないですか。でも、私はそうじゃなくて、がむしゃらに汗を流しながら歌って踊るアイドルが似合うのかなと思って」 ──そういった自己分析もしていたんですね。 「2年ほど前には、大好きだった=LOVEさんと≠MEさんの妹グループである≒JOYさんのオーディションも受けました。そのオーディションではそれまで経験がなかった最終審査まで進ませていただいて、他のアイドルさんのオーディションを見て憧れだったSHOWROOM審査にも参加できて。でも、ダメでした。そこで挫折というか、アイドルは向いていないのかなって……このオーディションにすごく懸けていたので、かなり落ち込みましたね」 ──でも、諦めることができなかった? 「アイドルになりたい気持ちはまだあったんですが、そこから1年半はいったん学業やアルバイトに励もうと決めて、実際にそうしました。アルバイトはウエディングのスタッフをしたり、水炊き屋さんで働いたりして。そんな時、今回のオーディションの告知がSNSに流れてきたんです。“時代のニーズに合わせてアップデートしていく”という活動コンセプトに惹かれました」 「私は可愛い系の曲もかっこいい系の曲も好きなので、時代のニーズに合わせてアップデートしていくことがコンセプトなら、いろんなスタイルに挑戦できそうで、魅力的だと感じたんです。時代に合わせて変化していくことで、長く愛されるグループになれるんじゃないかとも思いました。それで、これが最後のアイドルオーディションだと決めて応募したんです。アイドルへの気持ちを抑えてはいましたけど、自分が最終審査まで進んで落ちてしまったニアジョイ(≒JOY)さんの活躍を見ていて悔しい思いもありましたし、やっぱりアイドルになりたいと諦められなかったんだと思います」 ──デビューまでの中で、あの経験がなかったら今の自分はいないな、と感じていることは? 「やっぱり、合宿審査です。住んでいる場所も年齢も違う女の子たちと仲間になって、同じ夢を目指して集団行動することは、私にとって新鮮でした。そこで悔しい思いもたくさん味わって、自分に足りない部分も見つかったし、気づいて学んだこともあります」 ──自分に足りない部分というのは? 「歌とダンスの本当の実力です。今までの私は、ダンスを習ったり歌の練習も重ねてきたので、自分なりに自信があったんですよ。正直、人より優れている部分だと思っていました。でも、全然足りていなかったです。自分を客観視できていなかったなと思います」 「歌もダンスも、スキルとは別に”表現力”が必要で、それがむしろすごく大事なんだということを今回のオーディションを通して学びました。今まではスキルだけ磨いていればいいと思っていたけど、それじゃ人に何かを届けることはできないし、届くはずもない。今までの私は、だから落ちていた。そこに気づいて、合宿ではイチから努力することができたと思います」 「他にも、私は自分の限界を自分で決めてしまっていたことに気づきました。結果が出ないと自暴自棄になる部分もあります。そこに気づけたのはすごくよかったです。長いオーディションだったので、忍耐力も身につきましたし、どんなに悔しくても頑張り続ける力もつきました。あとは、周囲の方々に対する感謝の気持ちです。当たり前のことだと思うんですけど、普通に生活していたらここまで強く思うことはなかったと思います」 ──どうして強く思うようになったのでしょうか? 「私を復活させてくれた、ファンの方々の存在がまずは大きいですね。それと、スタッフさんの姿です。今回のオーディション、そしてWHITE SCORPIONというグループに関わってくださっているスタッフさんたちは本当にたくさんいて、その方たちが朝早くから夜遅くまで私たちのために働いてくれています。その姿を見て、私たちは本当に恵まれているんだな、今まで以上にもっともっと人を大切にしようと思いました」 ──現時点で、アイドルとしてここは負けないと自負していることを教えてください。 「セルフプロデュース力は、WHITE SCORPIONのどのメンバーよりも長けていると思っています!」 ──公式プロフィールの特技の欄に「キメ顔」と記載するぐらいですもんね。 「はい(笑)。パフォーマンス中の見せ方やステージでの在り方は、すごく研究しています。どうやったらファンの方々に喜んでいただけるか、楽しんでワクワクしていただけるかを常に考えているんです。今までたくさんのアイドルさんの映像を見て研究してきました。特に=LOVEさんは楽曲のタイプが幅広いので、いろんな見せ方を研究することができます。中でも、メンバーの野口衣織さん。表現力が飛び抜けているので、自分のパフォーマンスの参考にさせていただいています」 ──公式プロフィールの特技欄には、「料理」と「字を書くこと」も記載されています。 「両親の帰宅が遅い時は私が食事を作っていたので、得意なんじゃないかなと思います。和食も洋食も中華も作るんですけど、和食ならとんかつを揚げたり、洋食だったらハンバーグやエビフライを作ったり。中華だと、エビチリや回鍋肉、棒棒鶏なんかを作りますね」 ──今の時代的に「字を書くこと」が特技なのは、少し珍しい気がします。 「特技にしていますが、字を書くことが好きなんです。小学生の頃、アイドルにもなりたかったんですけど、もうひとつの夢は小説家でした。それで毎日、その日の出来事をノートに書き留めていたので、字を書くことが好きになったんです。一番好きな作家さんは、辻村深月さん。言葉選びが本当に美しいなと思います。そうやってきれいに感情を伝えることは素敵なことだなと感じて、自分も小説家になりたいと思っていたんです」 ──元乃木坂46の高山一実さんはグループ在籍中に小説家デビューをしていますし、元SKE48の松井玲奈さんも小説を上梓しています。 「そうですよね! これから頑張る……かもしれません(笑)」 ◆メンバー個々で得たものをグループに持って帰りたい ──これからという意味では、未来のWHITE SCORPIONにどんな理想像を描いていますか? 「映画の『アベンジャーズ』って、すごいじゃないですか。キャラクターのそれぞれがヒーローなのに、集まってチームになるともっとパワーが増す。WHITE SCORPIONも、そういうチームになっていけたら理想的だなと思います。WHITE SCORPIONのメンバーは、一人ひとりが個々でも活躍できる可能性と熱量を持っているので、それぞれが得意なジャンルで活躍して、そこで得たものをグループに持って帰ってきて、全員で最高のパフォーマンスをファンの皆さんに届ける。それができたら、いいライブがたくさんできると思うし、憧れの全国ドームツアーにもプラスになっていくだろうし、見えてくる広い世界があると思うんです。その世界にみんなで飛び込むことができれば、海外進出にもつながっていくのかなって思っています」 ──個人の活動としては、どんなことにトライしてみたいですか? 「いろんな雑誌にも出たいですし、ソロ曲をいただいて歌ったり、ソロコンサートでパフォーマンスしてみたいです。その中で自分自身の存在を高めて、個人としての知名度も高めることができたら、グループにも貢献できるんじゃないかと思っています」 ──ところで、ACEという名前にはもう慣れましたか? 「オーディションの時に自分でつけた名前は、PEACEだったんですよ。楽しく平和にオーディションに参加したいと思っていたし、実家で飼っているハムスターがスーちゃんという名前なので、私もPEACEのスを取ってスーちゃんって呼ばれたらいいなって。でも、オーディションに合格して、WHITE SCORPIONのメンバーとしてACEという名前をいただきました。オーディション中の私を見てつけてくださった名前だと思うし、私の名前を知った人は『この子がグループのエースってこと?』って思ってくださるかもしれません。そんな名前をいただいた瞬間から、ACEという名前に恥ずかしくない自分を作らなきゃいけないという覚悟を決めました。ACEという名前を背負って生きていきます!」 PROFILE ACE 11月6日生まれ、福岡県出身 趣味:スノボー・ゲーム・寝ること 特技:料理・字を書くこと・キメ顔 取材・文:大久保和則
FRIDAYデジタル