築地市場協会が「移転延期」の再考を求める要望書を提出
11月7日に予定されていた築地市場の豊洲新市場への移転が延期された問題について、築地市場協会は31日、小池百合子・東京都知事あてに「豊洲市場への移転延期再考の要望」を書面で提出したと発表した。同協会の伊藤裕康会長は記者会見で、移転延期について「大変困惑している」と述べるとともに、今後も延期再考を求めていく考えを示した。 【中継録画】築地市場移転問題で小池都知事が会見
小池都知事は、31日午後の記者会見で築地市場の豊洲移転の延期を発表したが、それまでに同協会側に説明はなかったという。伊藤会長は、「移転が延期になるという記事は知っていたが、正式に聞いたのは、今日の午後1時半からの記者発表だった」と述べた。 11月7日の移転日について、伊藤会長は、東京都側との十分な話し合いによって決定された前提があるとして、「すべての準備をここに合わせてやってきた矢先にこういう話になった。われわれは誰に話して、どこに頼ればいいのか。都に対してはっきり言わねばならないし、抗議もしなければいけない」とした。 記者会見の場で、小池都知事は、移転そのものの中止の可能性についても含みを持たせた。これについて、伊藤会長は、「移転中止となると大問題」として、紆余曲折を経て豊洲新市場への移転が進められてきた経緯を説明。築地の市場関係者が大型冷蔵庫など豊洲の設備に多額の投資を行ってきた点に触れ、「移転中止になれば、どうするのか。全部借金でまかなった投資をどうやって戻してくれるのか」、「すべての資産と経営のすべての能力を集中してやってきた。こんな話があるのか」と語気を強めた。 移転延期の決定とともに、小池都知事は市場問題プロジェクトチームを設置し、問題点の解消に取り組む方針も示した。この中には、移転を進めてきた市場関係者への補償の検討も含まれる。伊藤会長は、「都の都合で11月7日に決めて、それに向かって走っている。それを変えるなら責任は都に負ってもらわねばならない」と述べ、補償を求めていく考えを示した。 (取材・文:具志堅浩二)