口腔がんの患者に対して実施された光免疫療法による処置の様子＝18日午前（弘大病院提供）

　がん細胞にレーザー光を当て、ピンポイントで細胞を死滅させる光免疫療法（アルミノックス治療）が18日、弘前大学医学部付属病院で、青森県内で初めて行われ、無事終了した。担当の小林恒教授（歯科口腔＝こうくう＝外科）は「悪性腫瘍（がん）消滅の確認には約1カ月間の経過観察が必要。腫瘍が残っていても、再度治療を実施することができる」と語った。 　患者は口腔がんを患う県内の60代男性。外科手術や放射線治療を受けたが、がんが口に再発していた。 　この日の処置では、がん細胞に付着する薬剤を男性に投与した後、光ファイバーでレーザー光を照射した。午前9時半に開始し、同11時半に終了した。メインの治療スタッフは歯科口腔外科、耳鼻咽喉科の5人。 　今後、体内の薬剤が日光に反応する可能性があるので、男性は直射日光を避ける必要があるという。 　光免疫療法は2021年1月、一部の頭頸部（けいぶ）がんに対して保険治療が開始された。治療は4週ごとに4回繰り返すことができる。小林教授は「広範囲に多発するケースが多い口腔がんの治療には、光免疫療法は有効」と話した。 　今後、同病院で光免疫療法による治療が実施される可能性がある事例が1例あるという。 　同病院に光免疫療法の治療機器と薬剤を供給している楽天メディカルによると9月末現在、治療施設があるのは弘大病院を含め46都道府県の170カ所。