ミラーボディが部分的に凹んでいる!!絶版部品にこだわった修理方法
レンズが無ければ、気になる「いろいろ」ができる
レンズとダンパーゴムを取り外すとステーの取り付け部分には締め付けネジがある。調整部分がユルく、走行中にレンズボディがうなだれてしまうミラーなら、この部分の増し締めで修復可能になる。逆に作動性が悪い時には、一度ナットを緩めて取り外し、クリーニング後に再度しっかり締め付け調整しても良い。カシメ固定されている時には。カシメ部分を削り落としても良い。凹んだミラーボディは鈑金作業で形状再生しよう。金尺を当てると凹の度合いがわかるはずだ。この凹んだ部分のみを引っ張り出せるような鈑金作業、少々難しいが……。 当て具にレンズボディをセットしてゴムハンマーで叩くなどで凹部分を押し出すことはできるが、押し出し量の調整とボディの他の部分へキズをつけてしまう可能性が大。そこで、工作用の木板でホルダープレートを作り、ベアリングプーラーで凹部分を押し出す作戦を考えてみた。まずは適当な大きさに工作板をカット。金尺で凹部分の外周を測定するとΦ35mm前後だったので、Φ35mmのホールソーで穴加工を行なった。
木板受けでキズを防止しつつ板金修理
ミラーステーを加工穴へ通し、丸穴寸法と凹部分の外径がほぼ一致しているか確認してみた。おおよそイイ感じなので、この木板を利用して、鈑金押し出し作業を実践してみよう。ベアリングプーラーのフックを木板に引っ掛けて、ステーを固定するネジ部分の中央に押し棒先端をセット。押し棒が滑ってしまうときには、センターポンチで引っ掛かりを作る。凹部分の復元度合いを確認しながらレンチでボルトを押し出していった。 ある程度、押し戻しが進むと、木板がしなって、一定量以上は凹を押し出すことができなくなってしまった。そこでアルミ板を併用し、木板を挟んでボディにキズを付けないように配慮しながら再び作業続行。さすがにアルミ板はしならず、凹部分を押し出すことができた。
凹部分の修理完了。以前と比べて見栄え良好
凹っていたミラーボディはおおそそ押し出すことができた。ステーの付け根部分の凹はほぼ無くなり、普通のバックミラーに復活することができた。レンズ=鏡の復元時は、レンズにダンパーゴムをセットして、ボディに水平に押し付けるとカポッとハマる。追加でレンズボディの内側へ、隙間寸法に合わせたスポンジゴムを挟み固定することで、共振防止対策を実施することもできる。 ────────── ポイント1・直カシメマウントではないミラーレンズは取り外せることもある ポイント2・金属よりも弱く腰がある木板を使って板金作業 ポイント3・ミラーレンズが外れればボディ本体の締め付け調整も可能 ────────── 80年代以降に誕生したモデルの多くは、樹脂製ボディのバックミラーを採用している例が多い。一方、70年代以前のモデルは、金属ボディを採用していて、クロームメッキ仕上げの部品が多かった。例えば、サビの発生が皆無でクロームメッキのコンディションが極上なのに、レンズが壊れてヒビが入っていたり、レンズ外周付近の鏡が剥がれ始めて薄汚くなっていたりなどなど、残念な部品がある。仮に、そのバックミラーのレンズがゴムダンパーで固定されているタイプなら、レンズを取り外して、同じサイズや部品の良品レンズ=鏡に交換することで再生が可能な例もある。 レンズの固定をカシメでガラスレンズに直接固定しているタイプだと、簡単に分離することはできない。しかし、ゴムダンパーを介してボディにハメ込んであるタイプなら、ここに実践したような方法で、レンズを取り外せることもある。つまり「ニコイチ」「3コイチ」で、お気に入りのバックミラーを復活再生させることもできるのだ。
たぐちかつみ