現役自衛官セクハラ訴訟 「迷走してる」原告弁護団が指摘する国側の主張
12か所から放置された原告のセクハラ
原告の女性はセクハラを受けてからこれまで、①班長、②セクハラ相談員、③法務班、④セクハラホットライン(防衛省人事局)、⑤航空幕僚幹部セクハラ相談室、⑥防衛省・自衛隊公益通報窓口、⑦総隊司令官、⑧河野克俊統幕長(当時)、⑨防衛監察、⑩法務省、⑪人事院、⑫特別防衛監察など12か所にセクハラ被害を訴えている。 しかし、隊長からは「加害者にも家庭がある」、セクハラ相談員からは「我慢するしかない」などと言われるなど、12か所すべてが適切な対応を行わなかったという。 また、女性は2016年に、那覇地方裁判所で加害者を被告とする訴訟を提訴。しかし、那覇地裁は、「仮に違法であっても国家公務員である加害者個人(被告)が不法行為責任を負うことはない」として、原告の訴えを退けた。加害者は、隊内で戒告処分を受けた。 当時、加害者側も原告の訴えは事実無根として反訴したが、裁判所は「原告の尻や胸等の身体部位に関する発言や性行為に関する発言等は職場における発言内容として不適切」「社会的に相当な程度を超えて原告の人格権を侵害する違法なセクハラ発言に当たると判断される可能性は十分にある」として請求を棄却した(加害者は控訴するが、福岡高裁那覇支部が棄却)。 現在の裁判で原告は、加害者個人の責任ではなく、加害者を雇用する国の「安全配慮義務違反」を問うている。次回期日は6月17日。非公開の進行協議と弁論が行われる。
弁護士JP編集部